Scribner Associates(スクリブナーアソシエイツ / USA)

膜抵抗測定システム MTS740

MTS740型は、米国の燃料電池計測システム開発の パイオニアであるScribner Associates社により、米国 エネルギー省の高温加湿膜開発プロジェクトの一環として技術開発が行われ、開発された製品です。  
PEMFC用の高温低加湿膜の開発にあたり、実用時と 同じ厚み方向(through-plane)のイオン伝導度を早く正確に測定可能です。

株式会社東陽テクニカ 脱炭素・エネルギー計測部
phone03-3245-1103
Mail:keisoku[at]toyo.co.jp

特長

膜の伝導度測定のニーズと課題

燃料電池用の電解質膜の伝導度測定をする場合、発電時と同じ膜の厚み方向(through- plane)でのイオン伝導を測定することが望ましいですが、これまでは測定が困難でした。  
厚み方向でのイオン伝導率測定は、電極で挟みこんで恒温恒湿槽内で測定する方法が 従来から行われてきましたが、電極で挟み込まれた膜の湿度状態の制御は難しいことや、 加湿による膜の厚み変動等の問題、またセル(MEA)に組んでの測定では膜以外の要素も影響するといった問題で、単純に膜だけの比較を行うのは困難でした。   
そこで代用として行われていたのが面方向(in-plane)での測定です。 面方向での測 定は膜の加湿状態などを管理しやすいですが、実際の厚み方向でイオン伝導を測定して いないため、異方性がないとされる膜でしか代用となりません。近年は意図的に異方性を持たせた膜も登場しており、実用時と同じ厚み方向での評価が求められています。   
MTS740は確立した測定手法と加湿条件制御を組み合わせることにより、このような 課題を解決した計測システムです。

MTS740の特長

膜厚み方向(through-plane)でのイオン伝導度測定

MTS-CellHead
(サンプルホルダ部)

サンプル膜をサンプルホルダ部の電極間に指定電極押圧で 挟み込み、ホルダ部を本体にセットするだけで、サンプル膜への加湿ガス導入を確保し、4端子交流インピーダンス測定が行えます。

オプションのMTS-Cell110型を使用することで、膜の面方向(in-plane)でもイオン伝導度を測定することができます。

迅速な加湿条件変更

サンプル膜をサンプルホルダ部の電極間に指定電極押圧で 挟み込み、ホルダ部を本体にセットするだけで、サンプル膜への加湿ガス導入を確保し、4端子交流インピーダンス測定が行えます。

MTS740 ガス供給部

ソフトウェアによる自動測定可能

MTS740付属のMTS4ソフトウェアにより、膜温度、膜周りの湿度を制御可能です。   
また相対湿度変化のプロファイルを作成することで、指定のRH条件に到達後、ZPlot ソフトで動作するインピーダンスアナライザを連動させ、交流インピーダンス測定を行うことができます。

MTS4ソフトウェア

高い測定精度、再現性

下のグラフはNafion膜 NRE-212をMTS740型(計測はソーラトロン社製1260型) で、3MHz以下周波数範囲で交流インピーダンス測定し、Z実軸との交点から算出した伝導度のデータです。
伝導度の算出には膜乾燥時の厚みを用いています。 複数サンプルを交換して測定した際に、同加湿条件での伝導度のバラツキは±5%以内 と、高い測定再現性を持っています。
(※膜厚み方向で測定する場合、周波数~1MHzではZ実軸までプロットできません。)

サンプル:Nafion-212

測定条件

サンプル:80℃
相対湿度:90%~20%(10%刻み)
相対湿度変化15分後に測定

仕様

温度範囲 30℃~120℃(加湿器露点温度)
30℃~180℃(サンプル温度)
加湿精度 ±2% @20~95%RH
加湿度計測 静電容量型湿度センサー(Vaisala)
圧力範囲 1~3気圧
試料寸法 10μm~200μm厚、10mm幅×30mm長
使用ガス 水素、窒素、空気など(2種切り替え可能)
湿度変更時間 チャンバ雰囲気 3分、サンプル 7分
使用電源 100-120VAC、50/60Hz
PC接続 USB
本体寸法 450mm(H)× 275mm(W) ×475mm(D)

システム構成

MTS740 構成品

  • MTS740(本体)  1台
  • MTS-CellHead MTS740用セルヘッド  1個
  • MTS4制御ソフトウェア  1式
  • MTSGDL MTS740用GDL  1組(10ペア)
  • MTSCPS MTS740用カーボンペイント  1ビン(30g)
  • 測定用ケーブル、セルヘッド用断熱材

MTS740-PSM 構成品

  • MTS740の基本構成  各1台
  • PSM1735型 インピーダンスアナライザ  1台
    ・測定周波数範囲:10μHz~35MHz
    ・MTS4制御ソフトで連動可能

オプション

  • MTS-CellHead  MTS740用セルヘッド
    ・MTS740本体に付属している物と同じ予備用のセルヘッド
    ・MTS740本体のユーザーのみ追加購入可能
  • MTS-Cell110 MTS740用セルヘッド
    ・サンプル取付部がBT-110型になった膜面方向での抵抗測定用セルヘッド
  • MTSGDL  MTS740用GDL(10ペア)
    ・サンプル測定時に使用するガス拡散電極
    ・1サンプル当たり2個ずつ使用
  • MTSCPS  MTS740用カーボンペイント(30g)
    ・セルヘッドにMTSGDLを仮留めする際に使用
  • MTS-TANK  MTS740加湿器給水用タンク
    ・ガス圧をかけることでMTS740本体内の加湿器水位を一定に保持可能
  • インピーダンスアナライザ(測定周波数範囲:~3MHz以上推奨)
    ・上記PSM1735型、または"ZPlot”ソフトウェアにより制御可能なインピーダンスアナライザ(Solartron社製1260型)の使用を推奨