双方向電源を用いた車載高圧電装品向けLV123規格試験

双方向電源を用いた車載高圧電装品向けLV123規格試験
高電圧対応 双方向電源PSBシリーズ

近年の電動化の流れにより、高圧電装品がハイブリッド、プラグインハイブリッド、電気自動車、燃料電池車などの電動化車両で広く使用されています。これらの高圧電装品をシステム内で使用する際、電気的な安全性を確保することが一つの大きな課題となります。
LV123(Liefer Vorschrift)規格は欧州の自動車メーカ中心に標準規格として策定されており、高圧電装品(60-1500V)の供給仕様として、電気的特性と電気的安全性に関する要件と各試験項目を指定しています。近年では、高圧における電気妨害に関する国際標準規格ISO7637-4も策定されており、欧州向けに限らず全世界的に高圧電装品に対する試験の需要が急増しています。
本稿では、双方向電源PSBシリーズのアプリケーションとして、高圧・高スルーレート・複雑化するLV123規格試験項目を低コスト・省スペースで満足する方法を紹介いたします。

LV123規格の試験対象は下記になります。

最大動作電圧
DC:60 - 1500V もしくは AC:30 - 1000Vrms
の高圧部品もしくは高圧回路 (電圧カテゴリB)
参考文献:ECS-R100、GB/T 18384.3、ISO 6469-3

LV123規格では下記の動作電圧範囲や電気妨害環境(リップルノイズなど)が定義されており、それぞれに対応した試験プロファイルが規定されています。

  • 通常動作保証範囲 Unlimited Operating Capability
  • 動作上限電圧 Upper Limited Operating Capability
  • 動作下限電圧 Lower Limited Operating Capability
  • 制御可能電圧範囲 Highly Limited Operating Capability
  • 過電圧・過小電圧 Overvoltage / Undervoltage
  • 高速電圧リップル印加 Present Voltage Dynamic and Present Voltage Ripple
HV-voltage
ranges
overvoltage Upper HV
circuit limit
voltage
Maximum
operating
voltage
Upper limited
operating
capability
Unlimited
operating
capability
Lower limited
operating
capability
Highly limited
operating
capability
Undervoltage
HV-operating
range
B3 / B4 B3 / B4 B2 B2 B1 B2 B2 a / B3 b B3
Unit V d.c V d.c V d.c V d.c V d.c V d.c V d.c V d.c
HV_1 220 220 200 190-200 90-190 80-90 60-80 0-60
HV_2a 410 410 360 340-360 170-340 160-170 120-160 0-120
HV_2b 500 500 470 450-470 250-450 200-250 150-200 0-150
HV_3 800 800 700 750-770 520-750 450-520 - 0-450

これらの試験要件の中では、各電圧レベルを推移するスルーレートが規定されており、通常は20V/msec、中には250V/msecという非常に早いスルーレートが必要な試験項目もあります。また、20kHzレベルの高速リップルを重畳する試験項目も存在しており、試験項目を満足するために必要な装置が大型化・高コスト化するという問題がありました。

この高圧かつ複雑な試験プロファイルを低コスト・省スペースで実現するに当たり、ドイツEA Elektro-Automatik社製の双方向電源PSBシリーズを紹介させて頂きます。

  • 高スルーレート(最大300V/msec)
  • 任意波形・シーケンス機能
  • 1台に 電源および電子負荷の機能が両方具備(立上り立下り共に高速)
  • 直列接続無しで最大 2000VDCの高電圧出力
  • 大容量・コンパクト(30kW/4U)、1MWまでの並列増設可能

シーケンス機能を使用してのLV123高電圧変動試験

PSBシリーズの任意波形・シーケンス機能によりLV123試験用の波形を簡単に設定することが可能です。また、LV123試験では800V以上の高電圧印加が必要なケースもありますが、PSBシリーズでは最大2000VDCまで出力可能です。下の図はLV123の動作上限電圧および動作下限電圧のテストプロファイルをPSBシリーズのシーケンス機能を使用して出力させた例になります。

LV123テストプロファイル

csv形式によるシーケンス設定

動作上限電圧試験

動作下限電圧試験

通常動作保証範囲試験

制御可能下限電圧試験

リップル重畳試験

外部結合装置を使用することにより、1500V までの高電圧レベルオフセットに試験電圧リップル試験を実施することができます。重畳可能なリップルは最大300kHz/±50Vpp/±10Appと高周波・大容量にも対応可能です。また外部結合方式を採用することで、試験構成を非常にコンパクトかつ低コストに構築することも出来ます。

PSB9000(AC400V入力)/PSB9000JP(AC200V入力)
双方向直流電源のラインナップ

電力 2.5kW(JP)/5kW 5kW(JP)/10kW 7.5kW(JP)/15kW
電圧 電流
60V 120A 240A 360A
80V 120A 240A 360A
200V 70A 140A 210A
360V 40A 80A 120A
500V 30A 60A 90A
750A 20A 40A 60A
1000V 40A
1500V 30A

PSB10000/PSB10000JP双方向直流電源ラインナップ

電力 15kW(JP)/30kW
電圧 電流
60V 1000A
80V 1000A
200V 420A
360V 240A
500V 180A
750V 120A
1000V 80A
1500V 60A
2000V 40A

関連製品

参考資料

EA Elektro-Automatik社アプリケーションノート:Bi-Directional Operation – Automotive LV 123 Test Standard

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お問い合わせ先

株式会社東陽テクニカ eモビリティ計測部