ネットワークでおさえておくべき標準化団体

ネットワークを勉強しているとレイヤーやプロトコルにより標準化団体が複数出てきます。慣れないうちはこれはどこだっけ?となってしまうことがあります。
今回は、ネットワークでおさえておくべき代表的な標準化団体の特長について説明します。

IETF(Internet Engineering Task Force)

IETF

IETFは、インターネット技術に関わる仕様とその仕様策定プロセスに責任を持つ標準化団体です。ここで検討された仕様は、RFC(Request For Comments)と呼ばれる文書によって公開されています。誰でも自由にIETFの会合やメーリングリストでの議論に参加することができます。ここでは、インターネットで不可欠なIP、TCP、UDP、HTTPなどおなじみのプロトコルが規定されています。

ネットワークの現場では、「RFCxxxxではこういう仕様となっています」のようにRFC番号を参照されるケースが多いです。

IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)

IEEE

IEEEは、アメリカに本部を置く電気や情報工学の技術標準化を行なっている団体です。活動は小さなグループ単位で行われており、LAN(Local Area Network)で使われる技術を担当するグループは802.3委員会とよばれています。その中でもさらに細かく技術ごとに分かれています。特によく耳にする3つについては、関連する技術と一緒に覚えておくと良いと思います。

  • 802.3 xx Ethernet関連
  • 802.11 xx 無線LAN関連
  • 802.1Q Vertual LAN関連

IEEE1588(PTPの仕様)のようにIEEEで標準化された仕様は、IEEEと頭につくのでわかりやすいですね。

ITU(International Telecommunication Union)

ITU

ITUは、電気通信に関する国連の専門家組織で、3つの組織から成り立っています。標準化はその中のひとつで電気通信標準化部門(ITU-T)で行なっています。
通信網の技術・運用方法に関する国際標準の策定や、技術的な検討を行っており、策定された国際標準を勧告(Recommendation)として公表しています。先頭のアルファベットにより、シリーズ化されているのが特長です。

https://www.itu.int/en/ITU-T/publications/Pages/structure.aspx

SYNESISでサポートされているPTPプロファイル「G.8265.1」や「G.8275.1」もこちらで策定された仕様です。

ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)

ICANN

IANA

もともとは、IANA(Internet Assigned Numbers Authority)が行なっていた管理の役割をICANNに引き継いだこともあり、IANAの名称のほうが馴染みがある方は多いと思います。現在でもIANAは、ICANNの機能名称として使われています。IANAは、インターネットにおける「ユニーク」な資源を管理する団体で、グローバルなドメイン名、IPアドレス、プロトコル番号などを管理しています。

余談ですが、IPのバージョンも管理されています。「IPv4とIPv6があるのにIPv5はどうした?」と思われる方は、IANA - IP Version Numbersを確認してみてください。ちゃんとIANAで管理されています。

3GPP(3rd Generation Partnership Project)

3GPP

3GPPは、移動体通信 (5G/4G/LTEなど) の技術仕様を検討し作成するためのプロジェクトです。3GPPは正確にいうと標準化団体ではなく、主要な国または地域を代表する7つの標準化機関の共同プロジェクトです。
3GPPで作成されるドキュメントは、分野ごとにシリーズ番号が割り振られています。そのため、シリーズ番号を見ると、例えば、それが要件を定義した文書なのか、アーキテクチャを規定した文書なのか、プロトコルの詳細について記述した文書なのかが分かります。3G以降について規定したドキュメントでは、以下のシリーズ番号が使われています。

https://www.3gpp.org/specifications/specification-numbering

インターネットで仕様を調査する際の注意点

インターネットが普及した現在では、一昔前と違い技術や仕様に関しての情報は比較的かんたんにアクセスできるようになりました。ただ、インターネット上の情報は、誤りや根拠のない情報、アップデートされていない情報も多いですので、気をつける必要があります。
仕様を調査する際には、各種情報の裏を取る意味でも「標準化団体の一次ソース(原典)を確認すること」が重要です。