GNSSの脆弱性を知る

  • GNSSサイバー攻撃の分析と防御
  • 次世代の高精度時刻同期 イリジウム衛星とセシウム発振器(原子時計)

正確な時刻を得るための最も一般的な方法「GNSS」

GNSS(Global Navigation Satellite System / 全球測位衛星システム)とは、GPS、GLONASS、Galileo、準天頂衛星(QZSS)などの衛星測位システムの総称です。
GNSSは24時間365日切断されてはいけないミッションクリティカルなネットワークに最適と言われてきたため、時刻情報が必要な環境で広く使用されてきました。
しかし、GNSSには大きな脆弱性があることが分かってきました。以下にその脆弱性について説明します。


・GNSS衛星は地球上のあらゆる場所を広くカバーするために、地球から約20,000km離れた位置に設置されている。
 そのためGNSSの信号が地球に届くころには、微弱な電波となってしまい、ジャミングにとても弱いという性質を持っている。

・GNSS信号はカーナビに代表されるように民間サービスでも無償で簡単に利用することができる。
 そのため暗号化されておらず、DoS攻撃の一種であるスプーフィング(なりすまし攻撃、時間情報の改ざん)を容易に仕掛けられてしまう。

・GNSSの信号強度は非常に微弱なため、屋上に専用の受信アンテナを設置する必要があり、設置場所の確保や工事、それらに伴う費用が掛かる。
 また、散雷などの外的障害要因の影響を受け、信号が受信できなくなるリスクを有する。

・民間が利用できるGNSS衛星は限られていて、さらに地球の周りをかなり離れた位置で回っているため、専用アンテナが衛星を捕捉できない時間帯が存在する。


GNSSの脆弱性をついた攻撃は年々増えているにもかかわらず、このサービスそのものには対策が講じられていません。
そこで、当社が提案するGNSS運用における脆弱性対策について紹介します。

GNSS信号の脆弱性を解消するタイムサーバーソリューション

Adtran Networks社OSCILLOQUARTZは、防衛・放送・金融・テレコムといった異なる業界それぞれに特化した強力な時刻同期ソリューションを全世界に提供している、75年の歴史を持つクロック専業ベンダです。

同社の製品はナノ秒の高精度時刻同期を実現、B5Gや超高速金融取引に適合した時刻情報の管理を長期に運用できます。
また、GNSS信号の脆弱性であるジャミングやスプーフィングといった攻撃信号を検知し、不正信号を受信することを防ぐことができます。(図1)

C/N値の変化からジャミングや障害を分析、検知、防御

(図1)C/N値の変化からジャミングや障害を分析、検知、防御

GNSS信号に変わる新たなソリューション、STL(Satellite Time Location)受信サービス

66機(GPS衛星の約2.5倍)のイリジウム衛星からの信号を受信する新サービスです。
このサービスは、従来指摘されていたGNSS信号の運用面、セキュリティ面、コスト面の弱点を解消する、非常に優れたソリューションとして注目を集めています。

STL受信サービスには次のような優位点があります。

・STL衛星はGNSS衛星より地球の近くを周回しているため、従来のGNSSに比べて1,000倍の信号強度がある。
 そのため、屋内でも受信可能であり、屋上に専用アンテナを立てる必要がない。屋内で受信可能なため外的障害要因の影響を受ける可能性も低い。

・信号強度が強くジャミングも貫通するため、電波干渉の影響を受けにくい。

・暗号化されているため、スプーフィングの影響を受けない。

・本サービスを使用するタイムサーバーの設置場所の緯度・経度を登録するため、その住所に常に信号を配信。
 GNSS信号と比べて信号が途切れるリスクを軽減できる。
 

(図2)GPSとSTLの違い

(図2)GPSとSTLの違い

光励起セシウム発振器が高精度時刻同期に革命を起こす

もしGNSS信号を受信できなかった場合、タイムサーバーは自分が持つ水晶やルビジウムで自走して時間を刻むことになります。
その時の精度は水晶の場合、1日で1msec以上ズレが生じてしまいます。現にサイバー攻撃や自然現象、人的要因により、受信できないケースは多々発生しています。
そこで、革新的な時刻運用のバックアップを行うソリューションがあります。当社では正確な時刻発振を自走で常に出力することができる、セシウムを搭載した発振器を提供しています。
革新的な技術である光レーザーを用いたセシウム発振が搭載された、より時刻発振の精度の高い光セシウム発振器(図3)を提供しています。

本製品は従来、ルビジウムなどのオシレーターを搭載した機器類の校正に使用されてきましたが、システム運用に使用することで、GNSS信号が途切れても本製品から精度の高い時刻発振が供給され、時刻同期を保持し続けるシステム運用が可能になります。
電力や交通網、5Gサービスやプラント制御システムなど、高精度な時刻同期が途切れてはいけないシステム運用をお考えの方には魅力ある画期的なものではないでしょうか。
私たちの豊かな未来を創り革新的なサービスを支えるためには、安全な状態で、正確な時刻の同期を維持する安定したシステムは、必要不可欠と我々は考えています。

量子物理学・天文学・原子核物理・防衛 宇宙 OSA3300HP/SHP

テレコム・金融・データセンター・PNT OSA3350ePRC+/SePRC

(図3)光励起セシウム発振器(原子時計)、セシウムチューブ交換10年間メーカ保証