ライフサイエンス&マテリアルズ
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当部門はライフサイエンスならびにマテリアルサイエンス向けの最新ソリューションに特化すべく、2019 年2月に二つの営業部門を統合し新設されました。東陽テクニカが長年培ってきた世界最高水準の“はかる” 技術により、これら成長分野の発展に貢献し、さらなる革新技術創出の一助となるよう、部門名を「ライフサイエンス&マテリアルズ」としました。
ライフサイエンスって?
ライフサイエンス、言葉の響きは耳に心地よく昨今流行りのキーワードですが、そもそもライフサイエンスの研究が私たちの生活にどのように役立っているのでしょうか。
京都大学の山中伸弥教授がiPS 細胞の研究にてノーベル生理学・医学賞を受賞されたのは2012 年ですが、その後もiPS 細胞の研究は着々と進んでいます。iPS 細胞による目の角膜移植手術やパーキンソン病患者への神経細胞移植などが国内で行われ、従来完治が困難であった難病に対する臨床研究が日々行われています。これらは、人々の健康維持に寄与し難病を克服するという大きな期待がかかっているライフサイエンス研究の一例となっています。
日本は世界有数の超高齢社会です。現在65 歳以上人口が総人口の28%を超えており、2030 年には31.2%、2040 年には35.3%に達すると予測されています1)。このような現状において、健康・長寿の実現に対する要求が今後ますます強くなり、ライフサイエンス研究に対する期待が高まっていくことは想像に難くありません。
当部門ではライフサイエンス向けのソリューションとして、主にメディカル・ヘルスケア分野での活動を行っており、全国の病院やクリニック向けに、マンモグラフィーやCT 撮影画像の画像処理ツールを提供しています。体内の病変部分を発見しやすくするソフトウェアは、がんの見落としを防ぎ早期発見による5年生存率改善などに役立っています。
マテリアルサイエンスとは?
本誌をお読みいただいている多くの方がスマートフォンを使用されていると思いますが、そのスマートフォンの中身は日本の最先端テクノロジーが満載です。例えばコンデンサと呼ばれる超小型の半導体部品が、スマートフォン1 台あたり平均1,000 個以上使用されていますが、昨今の技術革新によりそれら部品の小型化が進み、最新のものは塩の粒よりも小さくなってきています。高性能かつ小型化の両立を実現する技術、そして不良品を出さずに部品を均一に量産する技術が重要であり、これら電子部品の試作や研究開発段階においてその性能を正しくはかるソリューションが必要とされます。
当部門ではマテリアルサイエンス向けのソリューションの一つとして、FIBSEMと呼ばれる電子顕微鏡の一種を提供しています。この装置を使用することで、ますます小型化されていく半導体など高性能電子部品の内部をナノメートル(1mmの100 万分の一)レベルで正確に観察することができます。部品内部の不良箇所の特定や解析を詳細に行うことが可能であるため、製品の品質改良に役立っており、日本の科学技術の発展に貢献しています。
未来を拓く
日本の研究開発費予算のうち全体の約16%、3 兆円がライフサイエンス研究に投じられており2)、この予算規模は情報通信や環境、エネルギー分野よりも大きくなっています。またマテリアルサイエンス分野においては、リチウムイオン電池や青色LEDの発明により日本人研究者がノーベル賞を受賞するなどその活躍が目覚ましく、今後も基礎研究が続いていくと思われます。ライフサイエンス&マテリアルサイエンスの分野において、産業発展を後押しすべく、常に最新ソリューションの提供を部員一同ワンチームで継続し、明るい未来の実現に貢献したいと考えています。
1) 出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」(平成29 年推計)
2) 出典:総務省 令和元年「科学技術研究調査結果の概要」2018年度 特定目的別研究費