“仮想環境の可視化” における動作と解析

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目次
  1. 仮想環境における課題
  2. 仮想環境に適した管理の仕組み
  3. vST(バーチャルスマートタップ)
  4. vIM(バーチャルインフォメーションマネージャ)
  5. Uila IMS
  6. まとめ

昨今、企業が利用するデータセンターでは多くのシステムを効率よく運用するために「仮想環境」が利用されることがあります。仮想環境とは、簡単に言うと1台の物理サーバー上で、仮想的に複数のコンピュータを稼働させた環境です。多くのメリットがある反面デメリットも存在し、その一つに、仮想環境内部の挙動が複雑なため、パフォーマンスのボトルネックとなる要素が多岐にわたることが挙げられます。ここでは、仮想環境における課題について説明をした後、仮想環境を可視化するための仕組みとその解析までの流れについて説明します。

仮想環境における課題

仮想環境は、ハイパーバイザと呼ばれる制御プログラムにより実現されます。物理サーバー上でハイパーバイザが稼働することにより、仮想化されたサーバーやネットワーク機器などを論理的に存在させることができます。仮想化されたサーバーなどの機器は、バーチャルマシンと呼ばれます。物理サーバーのリソースを複数のバーチャルマシンが共有することにより、電源やスペースはもちろんのこと、サーバーリソースを効率よく利用することが可能になります。全ての通信処理は仮想環境においてはメモリ上で行われるため、高速化されます。しかし、ハイパーバイザ間を接続する物理スイッチの環境では従来通りワイヤスピードを超えることはありません。また、従来の物理マシンの接続に比べると、ハイパーバイザに集約されているトポロジ・通信経路などが把握しづらくなってしまうという問題や、複数のバーチャルマシンが共有するハードウェアリソースの割り当てが不適切なため、本来効率化されなければならないものが非効率になるというケースも起こり得ます。このように、仮想環境という複雑になったシステムに対応するためには、状況を正確に把握できるだけの十分な情報が必要です。加えて、データ収集の効率化を行う必要もあります。

仮想環境に適した管理の仕組み

仮想環境の管理ツール専業メーカーであるUila社は、複雑化した仮想環境を効率的に管理するために、以下の仕組みを考案しました。

仮想環境では、通常複数のバーチャルマシンを構成するハイパーバイザと、ハイパーバイザを含めて仮想環境全体を統合管理するシステムが存在します。このそれぞれのリソースにvSTとvIMというモジュールを配置し、それぞれのモジュールで取得したデータの内、データ管理に必要な情報のみをUila IMSデータベースに送信します。管理者は、Uila IMSデータベースに蓄積された情報をWebブラウザによって閲覧することができます(図1)。

図1:仮想環境におけるモジュールの配置

vST(バーチャルスマートタップ)

vSTは、ハイパーバイザにインストールされ一つのバーチャルマシン上にて動作します。ハイパーバイザが管理するそれぞれのバーチャルマシンは、バーチャルスイッチに接続され、それを経由して通信を行います。 vSTは、この通信情報をプロミスキャスモードにて取得し、データの流れ、スループット、アプリケーションレスポンスタイムを測定、アプリケーションメタデータを解析します。また、バーチャルマシンとして動作する際、CPUは通常2%~5%と仮想環境に与える影響が少なくて済みます。

図2:vST解析マトリクス

vIM(バーチャルインフォメーションマネージャ)

vIMは、仮想環境のいずれかのハイパーバイザにインストールされバーチャルマシンとして動作します。仮想環境統合管理システムが保持するリソース情報やストレージに関する書き込み効率などの情報についてAPIを利用して取得します。vIMは、vSTから転送された通信情報と合わせて、統合データベースであるUila IMSに転送します(図1)。

Uila IMS

vSTとvIMにより収集した情報はUila IMSに格納されます。その際、4段階のベースラインによって判定基準が追加情報として記録されます。この情報はCPUなどのリソース利用率やトラフィック情報、トポロジ・通信経路の相関関係などの結果を表示し、さらに4段階の色別に表示されます(図3)。各グラフはドリルダウンによって、問題となっている原因の特定(ボトルネック解析)に情報をフォーカスすることが可能です。

図3:CPU Health

まとめ

従来、サーバーや各種のネットワーク機器は個別に存在していたため、それぞれの状況を確認することでシステムの管理は成り立ちました。しかし、仮想環境に移行した場合、一つのボックスの中に複数の機能が収容され、それらが相互に依存関係を持つことになるため、管理がより複雑化し問題特定を困難にします。今回はその解決法である“仮想化環境可視化” の手法について解説しました。今後、可視化技術の重要性は一層増してゆくことでしょう。