DXの基幹を支える超高速ネットワークインフラ 400GそしてBeyond 400Gへ ―次世代ネットワークパフォーマンステスター「Spirent TestCenter」
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- 目次
はじめに
日本のインターネットトラフィック(通信量)は年間2~4割増と速いペースで増加しています。近年、新型コロナウイルス感染症拡大によるテレワーク推進や、巣ごもり需要の拡大に伴い、増加ペースはいっそう加速しています。膨れ上がる通信量に対応するため、日本国内の通信事業者ネットワーク(以下、キャリア網)やデータセンターネットワークにおいては、現在主流である100ギガビットイーサネット(100GbE:伝送速度が最大100Gbpsのイーサネット規格)より、さらなる高速化が求められるようになってきました。
ネットワーク技術も進化しています。2017年に最大伝送速度400Gbpsを誇る最新規格「米国電気電子学会(IEEE)802.3bs」の標準化が完了しました。並行して、400GbEに対応するネットワーク機器が、グローバル市場で先行して開発、導入され、日本国内でもここ1、2年で400G対応製品が流通し始めました。また現在は、400GbEよりさらに高速な通信規格についてIEEEのタスクフォースで議論されています。
本稿では、DX時代を支える400G、そしてBeyond 400Gの超高速ネットワーク構築に貢献する、米国Spirent Communications社の次世代ネットワークパフォーマンステスター「Spirent TestCenter」をご紹介いたします。また、業界で初めて800GbEに対応した同製品の新モデルを、2022年6月に販売開始しましたので、こちらも最後にご紹介いたします。
急速なトラフィック増加に対応する方法
―ネットワークの400G化
キャリア網における基幹ネットワーク高速化へのアプローチとして、既存の100GbEを束ねる方法と、400GbEなどの新しい規格の製品へ置き換える方法の2通りが考えられます。事業者により考え方は異なりますが、基本的には400GbEへ置き換えたほうがコスト面でメリットがあります。トラフィックの増加が緩やかであれば、100GbEを束ねることで凌げるでしょうが、段階的な増やし方では間に合わないくらい、トラフィックは急速に増えています。同じ転送速度を実現する時に、より少ない回線数で賄えるほうが高効率で低コストです。さらに、スペース/消費電力の削減や、配線のシンプル化などのメリットもあります。
ネットワークの400GbE化事例は国内外で着実に増えています。GAFAなどに代表されるハイパースケーラーのクラウド用データセンターが相次いで導入しているほか、国内においても一部の大手キャリアが基幹網への400GbEの伝送装置導入や、法人向けに400GbEのデータ転送サービスの提供を開始しています。海外ベンダーの製品を中心に、400GbEの伝送装置の価格も低廉化し始めています。
400GbEのネットワーク構築には、その性能の検証も不可欠です。そこで“はかる”技術のソリューション・プロバイダーである東陽テクニカが提供するのがSpirent Communications社「Spirent TestCenter」のSpirent 400Gイーサ・テストソリューションです。
高速ネットワークのパフォーマンスを“はかる”
―Spirent 400Gラインアップ
Spirent 400Gイーサ・テストソリューションは大きく2つのラインアップを用意しています。1つ目は「400Gイーサ・アプライアンス」、2つ目は「400Gスピードオプション対応モジュール」です。
「400Gイーサ・アプライアンス」は、19インチラックに収まる1Uまたは2Uのアプライアンス型製品で、パフォーマンステストや負荷試験などを行えます。1Uあたり400GbE用ポートを8つ搭載しており、特に日本の通信事業者は限られたスペースで通信設備を構築しているケースが多く、高いポート密度が大きなメリットになります。複数台をスタック接続してテストポート数を増設することもでき、大規模な拠点にも対応できます。
「400Gスピードオプション対応モジュール」は、既存の100Gテスターなどに取り付けることで400GbE対応を実現できる製品で、すでに100GbE対応のシャーシを持つ事業者向けです。モジュールを挿すだけで400GbEのポートを2つ増設できるため、400GbEの設備を少しずつ増やしたい事業者などに向いています。
400G検証にはあらゆる規格・プロトコルへの対応が重要
両ラインアップに共通する特長は、複数の規格に対応していることです。400GbE以外に10/25/40/50/100/200GbEのスピードに対応しています。特に日本のキャリア網は、現在は100GbEからの移行期であるため、100Gと400Gの複数のスピードを組み合わせた接続の検証が必要な事業者も多いと思います。Spirent社製品は1台でそのような組み合わせ検証が可能です。
さらに、400GbE自体も伝送距離に応じて400GBASE-SR8(100m)や400GBASE-FR4(2km)、400GBASE-LR4(10km)など複数の規格があります。それらの規格に応じて、電気信号と光信号の変換を担う光トランシーバ製品が存在します。Spirent社のテスターは正式に標準化されている、あらゆる400GbE規格、およびそれらに対応する光トランシーバに対応しています。
プロトコルに関しても、OSPF、BGP、EVPN、Segment Routingなど主要ルーティングプロトコルを始め数多くに対応しているため、多様なプロトコルが混在するキャリア網やデータセンターネットワークにおいて使用可能です。例えば図3は、400GbEという超高速な環境でBGPルーターを模擬した試験のイメージです。400GbEの導入はネットワークの中枢から始まるケースが多いですが、末端が100GbEで中枢の装置が400GbEインフラで構成されたネットワークにBGPルーターが4,000台接続するパターンなど、複雑なテストケースを組むことができます。
また、データ伝送におけるエラー訂正の仕組みであるFEC(Forward Error Correction)もサポートしています。400GbEは「PAM4」と呼ばれる複雑な変調方式を採用するため、データ転送時にエラーが発生する可能性が否めません。そのため400GbEはFECによるエラー訂正が必須の仕様となっており、400GbE製品導入時にはFECの仕組みを確認する必要があるのです。
Beyond 400G の世界、そして時代を先取りしたSpirent 800GbEテスター
DXによる通信方式の多様化、5Gの高速モバイル通信などにより、通信量は今後も右肩上がりに増え続けるでしょう。400GbEより速いネットワークの導入を見据えて、さらに新しい通信規格の議論、開発がグローバルで始まっています(図4)。特に米中のハイパースケールデータセンター事業者の影響力は大きく、規格標準化に先行して事業者主導の規格がいくつか立ち上がっています。日本ではどの規格がいつ頃使えるようになるのか、また100GbE、400GbEからの置き換えは進むのか、引き続き注視すべきポイントです。
Spirent社も、グローバルのBeyond 400Gニーズに応える形で、「Spirent TestCenter」の新モデルとして、業界で初めて1)800GbEに対応した「Spirent B1 & B2 800Gアプライアンス」を開発しました。同じく800G技術に先行で着手しているグローバル企業と800G相互接続検証に取り組んでおり、技術展示会においてその成果を披露しています。東陽テクニカは、2022年6月15日より開催された「Interop Tokyo 2022」にて、本製品をCIG Photonics Japan株式会社が開発中の「800G QSFP-DD光トランシーバ」と接続し、800Gbps信号を伝送させる共同ライブデモンストレーションを国内初公開しました。また、出展各社からエントリーされる新製品の中から今年の一品を決定する「Best of Show Award」のテスティング部門で、「Spirent B1 & B2 800Gアプライアンス」が準グランプリを受賞しました。
1) 情報通信における測定業界において。2022年6月現在。東陽テクニカ調べ。
このような、先進的な技術・製品を日本に広めることも当社の重要なミッションであり、Beyond 400G技術をいち早く日本国内にお届けできるよう取り組んでいます。当社は今後も、パフォーマンステスターを始めとするさまざまなソリューションによって、日本の超高速ネットワークの発展に貢献してまいります。