Webアプリケーションのユーザーエクスペリエンス向上に貢献 継続的パフォーマンステストを容易に実現する「BlazeMeter」
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はじめに
突然ですが、皆さまの中で次のような経験をされた方はいらっしゃいませんか。
・人気チケットの発売日、購入サイトにアクセスしたものの、接続が切れて購入できなかった
・動画サイトで動画を見ようとしたけれど、フリーズしてしまった
・ECサイトで品物をカートに入れ、あと少しで購入手続き完了のタイミングで先に進めなくなってしまった
昨今、情報通信技術(ICT)の高度化に伴い、電子商取引(EC)サービス、動画配信サービス、インターネットバンキングなど、Webアプリケーションを使ったさまざまなサービス、ビジネスが活発化しています。
日々慣れ親しんでいるこれらのサービスですが、想定以上のアクセスなどで負荷がかかると、上記のような事態が発生します。これを防ぐために、Webアプリケーションの開発段階で、継続的にパフォーマンステストを行う必要があります。
本稿では、Webアプリケーション開発において継続的なパフォーマンステストを行うことの重要性や開発面でのメリットをお伝えし、そのソリューションとして、SaaS型継続的テストプラットフォーム「BlazeMeter」をご紹介いたします。
なぜ、Webアプリケーションの開発には継続的なパフォーマンステストが必要?
まず、継続的テストとは、ソフトウェア開発プロセスの各段階で、テストを定期的かつ継続的に実施するアプローチです。Webアプリケーション開発においては、各機能の更新や項目の追加など、途中でさまざまな変更がかけられます。その都度パフォーマンステストを行うことで、実環境で問題が起こるのを防げるのです。
Webアプリケーションの継続的なパフォーマンステストを行う主なメリットには以下が挙げられます。
開発のスピードアップ
従来は、開発が「完了」してからテストを行うことが一般的でしたが、継続的テストでは開発の「各段階」でテストを行います。これにより、ソフトウェアの問題やバグを早期に発見し、都度修正することが可能となり、品質の確保やリリースのスピードアップにも寄与します。
ユーザーエクスペリエンスの向上
パフォーマンスの問題があると、ユーザーがアプリケーションを使用する際に、遅延やフリーズなどの問題が発生します。その結果、ユーザーの満足度が低下し、信頼性も損なわれ、ユーザーがサービスを利用しなくなる恐れがあります。継続的なパフォーマンステストは、これらの問題を事前に発見し、対策を講じることができるため、ユーザーエクスペリエンスの向上に役立ちます。
スケーラビリティの確保
アプリケーションが成長するにつれて、ユーザー数やトラフィックが増加することが想定されます。継続的なパフォーマンステストにより、アプリケーションが将来の負荷に耐えられるかどうかを確認し、必要に応じてスケーリングや最適化を行うことができます。
コスト削減
パフォーマンスの問題が本番環境で発生すると、それを修正するためのコストが高くつく場合があります。継続的なパフォーマンステストにより、問題を事前に発見し、修正コストを削減することができます。
効率的に継続的テストを実践するために必要な要素とは
では、継続的にパフォーマンステストを実践するためには、どのような要素が必要でしょうか。
仮想化環境
実際の環境を模倣することで、テストをより迅速かつ効率的に実行することができます。例えば、「世界のどの国から何人がアクセスする」というような内容を想定した環境の準備が必要です。また、仮想化環境を作ることにより、テストに必要なリソースを柔軟に割り当てることができます。
自動化とテストデータ管理
自動化により、テストを迅速に実行することが可能となり、人為的なミスを減らすことができます。また、テストデータの管理も重要であり、多様なテストシナリオに対応できる適切なテストデータを用意する必要があります。
APIテストと機能テスト
Webアプリケーションの品質や信頼性を確保するために、APIテストや機能テストをパフォーマンステストと合わせて実施する必要があります。
フィードバックとメトリクス
継続的にフィードバックを受けることで、開発チームはテスト結果や品質に関するリアルタイムの情報を受け取り、適切な対応を行います。また、メトリクスを使用して、品質や効率を測定し、改善の余地を見つけます。
継続的パフォーマンステストを実現する「BlazeMeter」
導入から使い始めまでが簡単
Perforce Software社製「BlazeMeter」は、ブラウザ一つで大規模な負荷テストを実施できるクラウドベースのプラットフォームです。継続的パフォーマンステストを行うための仮想環境を提供します。サーバーなどのテスト環境を用意する必要はありません。ブラウザ一つで、200万人を超える仮想ユーザーによるアクセスや世界56地点からのアクセスなど、詳細な負荷条件を指定して、アプリケーションの安定性を確認することができます。よって、導入やメンテナンスにかかる追加コストは発生しません。
また、JMeter、Gatling、LOCUST1)などのオープンソースの負荷テストツールや、Selenium2)やTaurus3)などのテスト自動化ツールで作成したテストシナリオをそのまま流用し、手軽にテスト環境を拡張できるのが最大の特長です。
1) JMeter、Gatling、LOCUSTはすべて、Webサービスなどのアプリケーションの負荷テスト(パフォーマンス測定)を行うオープンソースツール
2) Webアプリケーションのテストを自動化するオープンソースのテストフレームワーク
3)「BlazeMeter」が提供するオープンソースのテスト自動化フレームワーク
負荷テストを強化する「BlazeMeter」のさまざまな機能
「BlazeMeter」で作り出した仮想環境と、開発中のWebアプリケーション、テストデータ、インターネット環境さえあれば負荷テストは実施できますが、この他に負荷テストを支援するための、さまざまな機能を追加することが可能です。
APIテスト/モニタリング:高い品質や信頼性を確保
パフォーマンステストと合わせ、APIのテストシナリオを作成し、APIのパフォーマンス(高負荷下においても期待通りの応答時間で期待通りの結果を返せているかなど)をテスト/モニタリングすることができます。
機能テスト:負荷をかけて各機能の動作をチェック
アプリケーションの機能が設計通りに動作することを確認します。耐えうる負荷を検証することで、限界を超えた際のシステム全体への影響を確認できます。
モックサービス:仮想サービスをオンデマンド作成
システムの一部がまだ開発途中などの理由からテスト対象外の場合でも、その欠けている部分のサービスを仮想的に作り出し、テストを実行できます。さらに、外部の連携サービスを仮想的に作り出し、テストに利用することが可能です。そのため、早い段階でテストを実施できるようになります。
テストデータマネジメント:AIを活用し、より手軽にテストを開始
生成AIにより、複数のフィールド(氏名、住所、メールアドレスなど)を持つデータセットのような、複雑な構成のテストデータやデータ生成関数もゼロから即座に作り出すことが可能です。例えば、チケット購入サイトなど、世界中から個人情報が入力されるような場合を想定し、架空の顧客データを作ることで、そのデータをもとに安全にテストを実施できます。
「BlazeMeter」はどのような業界で使用されているか?事例紹介
さまざまな業界のWebアプリケーションのテストで活用されている「BlazeMeter」。その一部をご紹介いたします。
ファッション業界
コロナ禍でオンライン販売が増加したファッション業界。セール期間などアクセスが集中しても問題なく処理できることが求められます。ある企業は、それまでの手動テストから、「BlazeMeter」導入後は毎週末の自動テストに切り替えて効率化を図り、以前よりもアップデートのスピードが向上しました。
エンタメ業界
とあるチケット販売サイトでは、世界的に人気映画の事前販売で、ファンが殺到してサイトがクラッシュしました。一般販売開始時のアクセス急増に備えて「BlazeMeter」で負荷テストを行い、世界中で30万人以上の同時アクセスにも耐えられるようになりました。
政府組織
米国政府の気候評価を報告するウェブサイトでは、「BlazeMeter」を用いた負荷テストにより、25万人以上の同時アクセスにも対応できるサイトを構築しました。
この他、飲食、金融、通信など、幅広い業界の企業が高パフォーマンスなWebサービスの安定的な提供に「BlazeMeter」を活用しています。
(参考:「See How BlazeMeter Helps Companies Like Yours」)
おわりに
東陽テクニカは「BlazeMeter」の提供を通じて、高負荷によるパフォーマンス低下や障害が起こらないよう堅牢なWebシステムの開発および運営を支援し、今後もICTサービス、ビジネスの発展に貢献してまいります。