「お客様に伴走して成功を目指す」オプテージのビジネスコンサルティング部が挑戦し続ける理由

株式会社オプテージ
ソリューション事業推進本部 副本部長 兼 ビジネスコンサルティング部 部長 下司 一氏

本記事の内容は、発行日現在の情報です。
製品名や組織名など最新情報と異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

ログイン・新規会員登録して
PDFダウンロード
目次
  1. 2010年から展開するビジネスコンサルティング事業
  2. GXを進めるうえで必要不可欠なDX
  3. ビジネスに直結しなくても、積極的にチャレンジする
  4. 企業全体での対応が必要なサイバーセキュリティ
  5. お客様と共に成功を目指していきたい

「お客様に伴走して成功を目指す」オプテージのビジネスコンサルティング部が挑戦し続ける理由

関西地方を中心に、独自の光ファイバーネットワークを基盤とした家庭向け光インターネットサービス「eo(イオ)」、携帯電話サービス「mineo(マイネオ)」、法人向け情報通信サービス、クラウドサービスや自社運営のデータセンターなどを提供する、関西電力グループの株式会社オプテージ。同社は近年、通信サービスの提供にとどまらず、ICT事業やSI事業といったソリューション事業にも注力しており、ビジネスコンサルティング領域にも力を入れています。

今回は、オプテージ ソリューション事業推進本部 副本部長 兼 ビジネスコンサルティング部 部長の下司 一(げし はじめ)氏に、関電グループでビジネスコンサルティングを行うオプテージの強みや特長、具体的な事業展開や将来の展望を詳しくお聞きしました。

株式会社オプテージ ロゴ

【インタビュアー】
株式会社東陽テクニカ セキュリティ&ラボカンパニー 課長
永井 宏宜

2010年から展開するビジネスコンサルティング事業

オプテージの事業概要とビジネスコンサルティング部について教えてください

関西電力100%出資の情報通信会社として、主に関西地域において家庭向け光インターネットサービス(FTTH)事業、全国向けにモバイル事業およびソリューション事業を展開しています。なお近年、ソリューション事業においては、ICTやSI(システムインテグレーション)といった分野にも注力しております。

私たちが担当しているのは、ソリューション事業の中のビジネスコンサルティングです。オプテージの前身となる企業で2010年から、展開してまいりました。

現在、社員数はオプテージ全体で3,000名ほど、当部署は約30名の規模です。当部署のお客様は民間・公共を問わず、北海道から沖縄まで、日本全国にいらっしゃいます。

オプテージのビジネスコンサルティング部が、他のベンダーと違う点はどこにありますか

他社との差別化という意味では、経営層、特にCレベルや事業責任者レベルの方々との対話を通じて、お客様の将来の事業戦略や経営戦略に関する相談役を務め、新事業の提案を行うなど、ビジネス領域でのサポートに注力している点が挙げられます。上流のコンサルティングから、システム開発、インフラ構築、データセンター運用・保守まで一貫した「フルサポート」を提供できる。これは他社にはない、私たちの強みであると自負しています。

設立当初から、経営層をターゲットとした支援を目指していたのでしょうか

はい、その通りです。私たちのチームは、外資系コンサルティングファームで長年の経験を積んだメンバーを中心に構成されています。設立当時は、関電グループ企業の経営層に対する支援を行うことから始めました。

関電グループ以外のお客様にもサービスを提供し、自立した成長を遂げるために、経営者の視点を持った独自のチームを構築してまいりました。

GXを進めるうえで必要不可欠なDX

下司 一氏

より具体的なお話をお聞きしていきます。オプテージのビジネスコンサルティング部がコンサルティングを行う際の特長はどんなところにありますか

私たちの特長は、お客様が現在取り組みたいことや困っていることに対して、積極的に、そしてスピード感を持って支援することです。

大手企業は比較的保守的な傾向があり、実績を積むことや知識を蓄えることを重視するため、時間がかかることが多いです。しかし、私たちはお客様よりも早く自分たちで積極的に情報を収集し、スキルを向上させて、そこからアプローチしていくスピード感を重要視しています。

力を入れている分野は何でしょうか

まず、大手ファームが大きく利益を得ている会計分野に対して、私たちはよりリーズナブルな価格でコンサルティングを提供しています。特に管理会計や予実管理の分野で、コンサルティングとソリューションをセットにして提供するサービスが、安定した収入源の一つです。

特に注力しているのは、デジタルトランスフォーメーション(DX)のビジネスへの活用です。経営や事業の視点で、今後のビジネス変革のあり方を考え、それに応じたソリューションの提案に最も力を入れています。データ分析もその一環です。

また、グリーン・トランスフォーメーション(GX)に関しては、欧州を中心にサステナビリティに資するための非財務情報の開示義務など、さまざまな規制がグローバルに広がっています。データを収集・分析して脱炭素やESGに活用するためのソリューションを提供することが、今後の重要な分野だと考えています。

GXを進めるうえで、DXとも関係することが多いのでしょうか

はい、まさにそうです。活動量を適切に削減し、業務を効率化することで自然と化石エネルギーの利用量や二酸化炭素排出量も削減される側面があるからです。データを活用して業務を効率化・高度化することにより、GXも実現可能となります。

製品一つを作る場合に、今後は自社グループだけではなく、外部のサプライヤーから部品を調達するプロセスも適切に行われることが求められるでしょう。この要求に応えるために、DXで業務の自動化や効率化に取り組んでいます。DXでGXを実現しつつ、株主や出資者に対して適切にESGを報告できるような仕組みの構築を目指しています。

さまざまな分野でコンサルティングのご経験があると思いますが、どのようなDXの事例がありますか

今はインバウンドで海外から来る観光客が多いですよね。来訪者がどのような情報源を見て、どうやってその場所に訪れたのか、そして次にどのように動くのか。そういったことについてQRコードを用いたデータ収集システムを作って把握し、そのデータを分析して活用するというサービスに対する引き合いも多く、積極的に展開しているところです。

また、プロスポーツの分野においては、観客数を増やすためにDXを導入するといった相談があります。選手のパフォーマンスを動画撮影し、その映像から選手の特徴をAIが分析・数値化するようなアプリを日本でどのように展開できるかについて、大使館から相談が来たこともあります。

これは弊社の事例ではないのですが、日本の課題の一つが農業で、高齢化により今後生産は大きく減少すると言われています。各自治体はDXの活用を模索しており、さまざまな相談が寄せられます。完全に手作業であるものを、いかに自動化するか、というのが課題で、温度、湿度、二酸化炭素量、紫外線量などを自動で調整する事例があります。

これまでは会計分野や業務の効率化に焦点を当てて活動してきましたが、生成AIを用いることで、多くの小規模な企業にも大逆転のチャンスがあると考えています。チームメンバーにもそのような話をして、メンバーがより良い提案を積極的にできるように、発破をかけています。

ビジネスに直結しなくても、積極的にチャレンジする

下司 一氏

スポーツや農業など、まだ確立されていない分野でのコンサルティングを行う場合、新しいツールに関する情報はどこから入手されていますか

例えば、面白い尖ったDXビジネスを行っていて、日本市場に興味を持っている企業を紹介してほしい、と大使館にお願いすることがあります。DXについては、海外にアプローチする方が、最先端のテクノロジーやツールに関する情報が集めやすいのです。

私たちの最大の強みは、コンサルティングスキルや課題解決能力ですが、適切なツールがあればそれは非常に有益ですから。そういったツールを含めて情報を探し続けることも私たちの仕事ですね。

コンサルティングスキルを発揮するためのチームビルディングに、何か特別な意識を持っていらっしゃるのでしょうか

当部署の創設者が、ミーティングのたびに「面白いことがあったらやりなさい」と言っていました。ミーティングでアイデアが出れば、「多少の費用がかかっても、ビジネスに直結しなくても、積極的にチャレンジしなさい」と促していたのです。

私もこの文化を引き継いで「やりたいことを遠慮なく申し出てほしい」とメンバーには伝えています。責任は私が負いますので、メンバーにはどんどん提案してほしいと思っています。そうすることで、さまざまな意見が出てきますし、皆が自分から興味のある活動を追求したり、勉強したりする、自由闊達な雰囲気の中で業務ができています。

コンサルするお客様を独り立ちさせる方法や、伴走支援について教えていただけますか

今、伴走支援に対する需要はかなり高くなっています。お客様との会話で、課題が固まってきた段階で、現場レベルとの活動計画に落としていきますが、現場スタッフからは多くの悩みを聞きます。問題が生じた時にどうやって上層部に報告するか、問題解決の方法をどう実行するかなど。中には諦めてしまう人もいるようですね。

そこで、私たちが持つ課題解決能力、仮説の立て方、企画書の作成方法などを活用して伴走し、一緒に実現に導くのです。このプロセスを行うことで、その企業の現場のスタッフがより強くなります。これが今、力を入れて取り組んでいることです。

私たちはコンサルティングだけでなく、多様なソリューションやインフラも提供できます。できるだけ利用しやすい価格でお客様にサービスを提供し、何よりお客様の成功まで寄り添うことが最優先です。

企業全体での対応が必要なサイバーセキュリティ

下司 一氏

サイバーセキュリティは経営者の間で関心が高まっている課題の一つだと考えます。この点に関して、ご意見や思うところがあれば、お聞かせいただけますでしょうか

サイバーセキュリティは、我々がCレベルの方々とお話しする際に必ず出てくるテーマです。経済産業省も2023年3月にサイバーセキュリティに関する指針を改訂しています1)

1) 2023年3月に経済産業省が「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」を改訂。サイバー攻撃から企業を守る観点で、経営者が認識する必要がある事項などがまとめられている。

しかし、サイバーセキュリティの領域には高度で専門的なITスキルを持つ人材が必要であり、その上にコンサルティングスキルが求められると考えています。経営者の視点で経営を改善していくためには、そこにビジネスチャンスがあると考えております。

私たちの部署はビジネスコンサルティングが専門ですが、もちろん会社としてはデータセンターやクラウドサービスも提供しており、最新のテクノロジーを用いています。また、東陽テクニカ様のソリューションも導入し、堅固なサイバーセキュリティ体制をお客様に提供しているのが現在の状況です。

ありがとうございます。グループ企業を含め、さまざまな形で御社がサイバーセキュリティを保障するための努力をされていると思います

そうですね。他にも、ビジネスコンサルティング部とサイバーセキュリティとの関わりでは、大使館と密接に情報交換を行っており、海外の情報機関の事例など多くを学ばせていただいています。

現在、日本では、サイバーセキュリティは主にエンジニアを中心に行われていると考えられがちですが、実際には企業全体の取り組みが必要です。私が海外を見て面白いと感じているのは、総務、法務、人事などの部門でも、サイバーセキュリティに関する知識が必要とされている点です。つまり、エンジニアだけではなく、会社全体としてどのように対応すべきかが海外では強く求められています。この点を参考にしながら、お客様への支援を提供する方法を検討しています。

現場のエンジニアよりも上位のレイヤーに属する人々の意識を変革することが重要ということでしょうか

はい、実際にインシデントが発生した際の適切な対応方法や、多様な暗号化技術についての理解を促すことが必要だと思います。海外では、特に警察機関などが先進的な取り組みを行っていますが、残念ながら日本はそのレベルにまだ達していないのが現状ですね。

セキュリティはサプライチェーン全体をカバーする必要があり、非常に高度で難解な領域になりつつあります。そのため、特に中小企業やITに詳しくない経営者の意識を変えることが、非常に重要だと考えています。いま述べたような解決策を提供できれば、そこにビジネスの機会が生まれるかもしれない、と現在考えているところです。

お客様と共に成功を目指していきたい

下司 一氏

今後の事業展開についてお尋ねしたいのですが、ビジネスコンサルティング部として、どのような計画や新規事業の開拓をお考えでしょうか

今後も、お客様が新しい分野に進出したいとお考えの際に、私たちがぜひとも支援させていただき、共に成功を目指していきたいです。

現在DXとGXについては、市場が形成されつつあります。しかし、DX推進部門を設置しているものの、どのように進めれば良いかわからない状態の企業も多くあるようです。そこに私たちが適切な支援を提供し、問題解決の方法を提示しながら普及させていく必要があります。

また、DXもGXもサイバーセキュリティも間接的には全てが関連しているのですよね。IT技術などデジタル分野に精通している人々は、自身がサステナビリティに関わっているという自覚があまりないと感じます。しかし、これらは全てが関連しており、その視点を業界全体に持っていただきたいのです。

今後は決算情報や業績開示と同様に、ESG活動など非財務情報も開示義務が課される領域となります。IT業界の人々もその点に貢献できることを意識してもらいたいと思います。そうすることで、企業のIT部門の職員の考え方や認識も変わってくるのではないかと考えます。

最後に、オプテージとして今後注力されていくソリューションについて教えてください

弊社は現在、「コネクティビティデータセンター」と「ゼロトラスト」の分野にも注力しています。

関西の都心部はパブリッククラウドのアクセスポイントやインターネットエクスチェンジの接続点を多数有しており、低遅延で安定した接続性を持つデータセンターのニーズが高まっています。そこで当社は大阪中心部の曽根崎エリアに「コネクティビティデータセンター」を建設しており、2026年1月より運用を開始します。サービスプロバイダーやユーザー企業にとって国内・海外への情報発信に最適な場を提供していきたいと考えています。

「ゼロトラスト」については、あらゆるセキュリティ脅威から社内情報を守るべく導入する企業が増えています。クラウド利用やリモートアクセスの増加により、従来の境界型防御では十分でないケースも増えていることから利用環境に応じた移行提案や運用サポートを進めていきます。

東陽テクニカ様には、今後、いろいろとご相談することも増えてくるかと思います。今後もご協力いただき、ビジネスの可能性を広げていきたいと考えています。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。本日は貴重なお時間をありがとうございました。

プロフィール

下司 一氏 写真

株式会社オプテージ
ソリューション事業推進本部 副本部長
兼 ビジネスコンサルティング部 部長

下司 一氏

大手SIerでSE業務に従事した後、アーサーアンダーセン(現PwCコンサルティング)で管理会計、グループ経営管理、連結決算分野で業務改革やシステム導入を多数実施。2016年に関電システムソリューションズ(現オプテージ)に転職し、経営管理・DX/GXコンサルティングに携わり、2020年よりビジネスコンサルティング部長を務める。2024年7月、ソリューション事業推進本部 副本部長に就任。

事業紹介