M81型機能紹介③ 測定例:Cernox™抵抗温度センサ / 超伝導転移

 M81型の特徴的なオートレンジ機能については、「M81型機能紹介② オートレンジでのロックインアンプ測定」でご紹介しておりますので、ここでは実際的な抵抗測定における事例をご紹介いたします。
 この測定においては、M81型などのLake Shore社製品やより一般的な機器をも統合的に制御し計測を行うことが可能なMeasureLink™ソフトのユニークなオプションであるQuantum Design社製PPMS用ソフトウェア MultiVu™との連携機能を使用し、PPMS(物理特性測定システム)にて温度制御を行いました。

謝辞

本測定は「国立大学法人東京大学 物性研究所 上床研究室 様」にて
M81型のデモ測定で行わせていただきました。

抵抗温度センサCernox™ の抵抗値測定

抵抗温度センサCernox™は極低温での温度感度特性に優れること、極低温~室温域まで1つのセンサで測定できること、磁場などの外的要因による測定値への影響がほぼ無視できることから、極低温域の実験においてはよく使用されている温度計の一つです。
ただしCernoxセンサの抵抗値は、極低温域では10kΩ程度、室温域では100Ω程度と温度によって2桁以上の変化があります。
 そこでM81型を用い、オートレンジにてロックインアンプ機能を使用して1秒に1回の抵抗測定(電流印加/電圧計測、周波数は9.8Hz)を行い、実環境で2桁以上の抵抗値変化が良好に測定できるかの実験を行いました。

 図1がその結果です。この測定では、測定開始時は約2Kであり、終了時は約200Kです。
レンジ変更は測定開始から約12秒で発生しています(図2:拡大図)。ロックインアンプによる1秒に1回の測定にもかかわらず、レンジ変更点においても測定値への影響は軽微であり、変更前と変更後の数値を比較すると変わらない単調な変化であることから、高速に適切なレンジ変更が行われたことが確認できました。

図1:抵抗温度センサの抵抗測定

図2:レンジ切替部分(拡大)

超伝導転移測定

 M81型のロックインアンプ機能による低抵抗測定性能の検証のために超伝導転移現象の測定を行いました。
 図3がその結果です(転移温度付近の拡大。温度はPPMSの測定値による)。
 この測定でもオートレンジでのロックインアンプ機能を使用して、1秒に1回の抵抗測定(電流印加/電圧計測、周波数は953Hz)を行っています。この物質は50K以下では数mΩの抵抗値となっており、4K付近までは温度低下とともに単調に抵抗値が低下していますが、その後急激に抵抗値が下がり3K付近で超伝導状態になっていることがわかります。
M81型による1秒に1回の高速測定で、mΩレベルの抵抗が測定できており、また、4Kから3Kまでの温度変化はおよそ10秒で行われていますが、その間の抵抗変化も克明に記録していることが確認できます。

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図3

使用した測定器:オートレンジ ロックインアンプ搭載 ソースメジャーユニット M81型☞

多ch同期 ロックインアンプ搭載 ソースメジャーユニット M81型 ☞

M81型は、従来のDC測定に加え ロックインアンプによる高感度 I-V抵抗測定、微分コンダクタンス測定(高調波)を行える 最新のソースメジャーユニットです。
電圧感度:nV、電流感度:10fA、6端子までの同期測定が可能です。ソフトウエアオプションにより 印加電圧/電流スイープや、温度、磁場制御も可能になります。半導体、超伝導、量子・スピン、二次元、熱電など 先端デバイスの評価に最適です。


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株式会社東陽テクニカ 脱炭素・エネルギー計測部