物性評価ソリューションマガジン Vol.14
弊社取扱い任意波形発生器のご紹介と「GHz 帯任意波形発生器の量子コンピュータへの適用」オンラインセミナー先行案内
平素は弊社製品をご愛顧いただき誠にありがとうございます。理化学計測部 物性チーム メールマガジン担当です。
10月になり東京では大分涼しくなり秋を感じる日々ですが、みなさまの地域ではいかがでしょうか?
カレンダーを見ていて、「あれ、体育の日がない!?」と探してしまいましたが、今年は開催される予定だった東京オリンピック・パラリンピックに合わせ7月24日に移動されていたこと、また名称が「体育の日」から「スポーツの日」に変更となったことを思い出しました。
東京オリンピック・パラリンピックの開催が来年に延期されたことに伴い、本来10月第2月曜日にあるはずのスポーツの日は、来年も特例で7月23日に移動されるとのことです。 祝日はないものの、過ごしやすくなってきたこの時期、感染対策をした上で、スポーツを楽しみたいものですね。
さて、今月号は弊社取扱い任意波形発生器の新製品のご紹介と、2020年10月27日に開催する「GHz 帯任意波形発生器の量子コンピュータ(Qubit)への適用」オンラインセミナーについて先行案内をさせていただきます。
ぜひ、今月号も最後までお付き合いください♪
1.任意波形発生器とは?
任意波形発生器は、オペレーターが定義した任意の電圧波形を出力することができるため、実際の条件と同等の電圧波形による計測実験やデバイスのドライブが可能となりました。そのため従来、エレクトロニクスをはじめ多くの分野の発展に寄与してきました。
弊社取り扱い任意波形発生器一覧■ 黎明期の任意波形発生器
任意波形発生器の黎明期(1989 年頃)に発売された Wavetek75 型は、サンプルレート:2MS/s、メモリ長:8kS という性能でした。
このモデルでは、任意波形の編集は Rubber Band Editing という機能を使用しており、出力波形をアナログオシロスコープ(アナログオシロであることがミソ)で表示させ、同時に同期信号と輝度変調出力信号をオシロスコープに接続します。輝度変調信号によってオシロスコープの CRT 画面上に波形ラインよりもひときわ明るいポイントがカーソルとして映し出されました。
Wavetek75 型はマウスとの接続が可能で、マウスを動かすとそのカーソルが連動して動きます。オペレーターはオシロスコープの画面を見ながら、実際の出力信号を目的の電圧レベルまでゴムを引っぱるような感覚でドラッグし編集します。
PCがあまり普及していない時代の製品としては大変画期的なアイディアだと思いませんか?現在ではアナログオシロスコープを見ることはほぼなくなってしまいました。
2.新製品 9GS/s FPGA 任意波形ジェネレータ PROTEUS シリーズの概要紹介
新製品 PROTEUS シリーズは サンプルレート:9GS/s、メモリ長:~16GS、と、前段で紹介した Wavetek75 型の約 1000 倍の性能を誇ります。これは従来の任意波形発生器よりも出力周波数帯域が広がり、マイクロ波領域の信号出力が可能になることを意 味します。
また本製品は、サンプリングスピードや周波数帯域が向上しただけではなく、FPGAを搭載したことでリアルタイム信号処理を実施することが可能になりました。PROTEUS の周波数帯域内であれば、内部のデジタル信号処理により設定したベースバンド信号による直交(IQ)変調を行い、アップコンバートしてダイレクトにマイクロ波を出力することが、わずか PROTEUS のたった1つのモジュール内で完結します。ローカルオシレータ/変調機器や VSG などを別に用意する必要が無いため、コスト削減やスペース削減に貢献するだけではなく、従来オペレータを悩ませている一因であった複数の機器を結線することによる動作遅延や、アライメントエラーなどの信号品質の低下に関わる要因を取り除くことが出来ます。
また、任意波形発生器でありながら高速 5.4GS/s デジタイザを内蔵することが出来るため、任意波形を出力しながら同時に計測することを可能にしました。
計測したデータは、ダウンコンバートをはじめ リアルタイムで信号処理を行うことが出来、その処理結果から出力する任意波形を変更することが可能です。つまり、閉ループ・フィーバックによる任意波形の出力制御をlatency=400ns のリアルタイム性で行える、ということを示しています。
このような機能は、任意波形発生器:AWG(Arbitrary Waveform Generator)に対して、AWT(Arbitrary Waveform Transceiver)と呼びます。
■ 量子コンピュータへの利用
PROTEUS シリーズの適用例として量子コンピュータ(Qubit)の制御が挙げられます。
量子コンピュータは並列計算により高速で計算処理を行うことが可能なため、私たちの生活に大いに役立つことが期待されており、昨今研究が加速しています。
コンピュータ(古典コンピュータ)の情報単位を「bit」(「1」or「0」)と呼びますが、量子コンピュータではこれを「量子ビット」(Qubit)と呼びます。
超電導素子や半導体量子ドットなどを用いた量子コンピュータでは、スピントロニクス技術により Qubit をマイクロ波(IQ 変調)や高速パルスにより制御して計算を行います。
Qubit は演算に使える時間:コヒーレンス時間がとても短く、その時間はデバイスによりますが、訳数10マイクロ秒からミリ秒程度だと言われています。計算や誤り訂正(フィードバック制御)はその時間内に完了する必要があり、時間軸方向に対して正確な制御信号を求められます。
PROTEUS は、このような Qubit の制御に求められるマイクロ波やベースバンド信号(I/Q 変調波)、および、高速パルスを多ch同期して出力することが出来るため、誤り訂正に必要な高速フィードバック制御も可能にします。
また、PXIe でシステム構築が出来るため、将来を見据えた多 bit デバイスにも対応します。
PROTEUS シリーズは、高度な信号処理を要求される研究開発用途に卓越した信号発生器です。
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