物性評価ソリューションマガジン Vol.15
GMW Associates社製電磁石のご紹介と電磁石の選定マニュアルのご案内
さて、突然ですが来月 6 日には何のイベントがあるかご存知でしょうか?昨年小惑星リュウグウにタッチダウンし、岩石サンプルの回収が期待されている小惑星探査機「はやぶさ 2」の地球帰還予定日です。
兄貴分の初代「はやぶさ」は満身創痍での地球帰還でしたが、「はやぶさ2」はきわめて順調にミッションをこなしており、機体にも問題がないと思われるため、サンプルが入ったカプセルを、オーストラリアのウーメラ砂漠に落としたのちに、追加ミッションとして次の観測目標の小惑星「1998KY26」に向けて旅立つそうです。
この小惑星への到着は 2031 年後半予定とのことで、私たちに長い間夢を見させてくれる素晴らしいプロジェクトだと思います。
さて、今月は最近お問い合わせを多くいただいております、GMW Associates社製電磁石のご紹介と選び方についてご紹介させていただきます。
ぜひ、今月号も最後までお付き合いください♪
1.GMW Associates 社製 電磁石のご紹介
GMW Associates 社は電磁石製造を主力にしているアメリカのメーカです。
最大の製品特長は「小型」・「軽量」!例えば、最大 2.0T(@10mm 磁極間距離、φ16mmスタンダード磁極使用時)の磁場強度を出すことができる3480型は磁石部の大きさはおおよそW29cm×D20cm×H22cm、重量は約 34kg しかありません。このコンパクトさを評価いただき、光学実験台の上に置いてご使用いただいているお客様もいらっしゃいます。
この強さの磁場を発生できる電磁石で、ここまでコンパクトな製品は大変稀ではないかと思います。
GMW Associates 社は電磁石製造を主力にしているアメリカのメーカです。
最大の製品特長は「小型」・「軽量」!
例えば、最大 2.0T(@10mm 磁極間距離、φ16mmスタンダード磁極使用時)の磁場強度を出すことができる3480型は磁石部の大きさはおおよそW29cm×D20cm×H22cm、重量は約 34kg しかありません。このコンパクトさを評価いただき、光学実験台の上に置いてご使用いただいているお客様もいらっしゃいます。
この強さの磁場を発生できる電磁石で、ここまでコンパクトな製品は大変稀ではないかと思います。
(任意方向磁場タイプ)
2. 電磁石の選定マニュアル
電磁石を選定いただく際は、ぜひ下記のポイントに注意してみてください。
- 単一磁極(Pole)かダイポール磁極か単一磁極は前述のプロジェクションタイプに相当します。
磁石の上に試料が置けるのがメリットですが、磁極表面から離れると磁場が発散するので注意が必要です。ダイポール磁極は N と S の 2 つの磁極の間に磁場を発生させます。磁極間に均一な磁場を作りやすいのがメリットですが、試料を磁極間に固定するための作りこみが必要です。
なお、この他に 4 重極磁石などもありますが、電磁石としては一般的ではありません。 - 磁極間隔(ダイポール磁石の場合)
例えば、幅10cmの試料やチャンバーを挿入する場合、双方の磁極と試料間に数mmの余裕があると挿入しやすいです。
間隔は自由に変更できるタイプ(多くの GMW Associates 社製品)と固定、もしくは何段階かで変更可能なタイプがあります。 - 試料サイズ=必要な均一磁場空間
磁極の太さ(直径)の仕様決定に必要な情報で、均一に磁場を印加したい空間を指定してください。この指定する空間は単一磁極の場合には、磁極中央部の表面上の位置で面積を指定します。ダイポール磁極の場合には、基本的に磁極と磁極の真ん中の空間を指定します。
なお、GMW Associates社のダイポールタイプの多くの製品では磁極がリバーシブルで、1本の磁極で2種類の太さの磁極としてご使用いただけます。 - 磁場強度と発生時間
上記の空間に発生させたい磁場と、発生させなければならない時間を指定してください。しかし、空間中に発生させることのできる磁場強度の情報が少ない製品も多いので、実際の選定の際は、単一磁極の場合には中心部から一定距離上の点、ダイポール磁極の場合には磁極と磁極と中心部での強さを指定することが多いです。 また、ダイポール磁極の場合も磁極間の磁場は一定ではありません。磁石の作りこみ次第ですが、ダイポール磁極の場合、磁極に近いと弱くなり逆に中央部では強くなります。(中央部が若干弱くなることもあります)磁場発生時間が短ければ瞬間的により大きい出力で、コストを抑えることができる場合もあります。GMW Associates社では印加電流とギャップ間隔で発生できる磁場情報の他、均一性についての情報も公開することが可能です。- ※ 一般的には電磁石で発生させることのできる磁場は、発熱の影響などで 3~4T程度(磁極間隔を狭くすればより強磁場が出せる物もございます)です。これより大きい磁場、大ギャップで強磁場を出さないといけない場合には、超伝導マグネットの導入も検討する必要がございます。
GMW Associates 社製品では 3T@10mm ギャップ、610kg、5T@1mm ギャップ(4T@5mm ギャップ)、170kg の製品がございます。
- ※ 一般的には電磁石で発生させることのできる磁場は、発熱の影響などで 3~4T程度(磁極間隔を狭くすればより強磁場が出せる物もございます)です。これより大きい磁場、大ギャップで強磁場を出さないといけない場合には、超伝導マグネットの導入も検討する必要がございます。
- その他のご希望
これより大きい磁場、大ギャップで強磁場を出さないといけない場合には、超伝導マグネットの導入も検討する必要がございます。 - 許容できる重量
より大きい磁場をより大きい面積に発生できる程、重量も増加します。
電磁石では 100kg 超え、t 超えになるものも珍しくはなく、建物の耐荷重対策が必要な場合も出てきます。 - 必要電磁石電源
誘導性負荷に対応できるバイポーラ電源や誘導電流への保護回路付きのユニポーラ電源が必要です。
別途用意される場合には、電磁石の抵抗値とインダクタンス値を確認し、これらの負荷に対して希望する電流を流すための電圧が印加できる電源を選びます。弊社では電源込みのトータルソリューションのご提案が可能です。
また、電磁石電源の放熱も膨大な量になる場合があるので、狭い部屋で実験をされる場合や大電流を印加する場合は実験室の空調も検討しなければなりません。 - 必要設備電源
ご購入されてから「あれ!?電源が足りない……」ということにならないように事前の確認が必要です。
200Vの設備電源を使用する物も多いので、空いているブレーカーと要領の確認は必須です。 - 水冷機器の仕様
電磁石は電気を消費して莫大な熱を発生しますので、当然冷却が必要です。
水冷に必要なチラーの容量やパワーを必ず確認しましょう。ほとんどの電磁石は水冷できるようになっていますが、出力は大幅に低下するものの空冷でも使用可能です。ただし、空冷で水冷時の電流を印加してはいけません。ほぼ確実に電磁石が焼けます。このようなことにならないよう、温度センサ付きの電磁石とそのセンサからの非常停止信号を受けて停止できる電磁石電源を選ぶことが推奨されます。
なお、GMW Associates 社の電磁石には温度センサがついており、電源に非常停止信号を送れるようになっています。