技術資料

腐食亜鉛メッキFeサンプルのSKP撮像例

I. はじめに

このアプリケーションノートでは、SKP技術の能力について簡単に概説します。ここでは、コーティング欠陥の4つの異なる領域を撮像できます。

II. 実験

M470をSKPモードに設定し、亜鉛コーティングに欠陥のあるサンプルをTriCellに水平に設置しました。タングステン・プローブをサンプル表面から約100µm以内に近づけ、システムが信号を自動調整するように設定されました。これでユーザがロックイン・アンプ調整を行う必要がなくなります。次に、6 x 6 mm²の範囲で、ステップサイズ100µmでスイープスキャン・エリアマップ実験が行われました。

図1

図1: サンプルおよびおおよそのスキャン領域 (黒枠)

図1のサンプルはモデルSKPサンプルで、部分的に酸腐食がある劣化部を持つ、さまざまに摩耗した亜鉛被覆でコーティングされた鋼材コインで構成されています。

III. 結果

このサンプルのSKPスキャンの結果を図2に示します。

図2

図2: SKPエリアマップ結果

SKPマップには4つの注目領域があり、図3で視覚的に識別できます。

・部分腐食(Fe + Zn)
・島状構造(Zn)
・鋼材腐食(Fe水酸化物)
・コーティング欠陥(Fe)

図3

図3: 欠陥領域の拡大画像

サンプル上の4つの異なる相を考慮すると、相対的な腐食電位スケールは次のようになります。
Zn < Fe + Zn < Fe水酸化物 < Fe

SKPマップのコントラストを見ると、低いボルタ電位に対応する青色、高いボルタ電位に対応する赤色で同様に順位付けが可能です。順位付けは次のようになります。
コーティング(Zn)< 島状構造(Zn)< 部分腐食(Fe + Zn)< 鋼材腐食(Fe水酸化物)< コーティング欠陥(Fe)
これは腐食電位を考慮した場合と同じ順位付けであり、SKPで得られる情報、すなわちボルタ電位または仕事関数の差が腐食電位に比例することを裏付けています。これはStratmannらによって初めて実証されました[1-3]。
また、ボルタ電位と腐食電位の間の校正係数の見つけ方に関する技術ノートはBio-Logicウェブサイト[4]に記載されています。

IV. 結論

このアプリケーションノートでは、走査型ケルビンプローブで得られる結果の例を示します。この技術の高感度により、コーティングの欠陥、酸化状態の金属、異なる組成比の2種類の金属など、様々な特徴を特定できます。これらの特徴はそれぞれ異なるコントラストと、腐食電位に追従するボルタ電位の値を与えます。

参考文献

  1. M. Stratmann, H. Streckel, Corrosion Science, 1990, 30, 681 – 696
  2. M. Stratmann, H. Streckel, Corrosion Science, 1990, 30, 697 – 714
  3. M. Stratmann, H. Streckel, K. T. Kim and S. Crockett, Corrosion Science, 1990, 30, 715 – 734
  4. SCAN-LAB テクニカル・ノート #3: 電気化学電位に関する作業関数

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