技術資料
電気化学インピーダンス法による 新規材料の特性診断(名古屋工業大学 工学専攻 物理工学系プログラム 准教授 星 芳直氏)
I はじめに
本研究の特徴を一言で言うと、ものつくり技術者が、開発した材料の特長を長期間生かすために、 使用環境における材料の腐食特性を時間軸でモニタリングできる技術を、研究・開発している。
II 社会背景と技術的課題
- 実環境で使用されている構造材料の寿命予測と適切なメンテナンス
- エネルギーデバイスの特性評価と状態診断
電気化学インピーダンス法
メリット
- 微小な交流電位(または電流)信号を用いるため、測定による電極へのダメージが極めて小さい。
- 交流信号の周波数を変化させることで、スペクトル解析がおこなえる。
問題点
- 時間とともに反応速度が変化する系への適用が難しい。(インピーダンススペクトルがひずんでしまう)
→等価回路を用いたインピーダンススペクトルの解析が困難。
III 本技術の特徴
~3D インピーダンス法 によるインピーダンス解析~
新技術の特徴
- 時間情報を含んだインピーダンスが測定できる。
- 具体例①電池の充放電を停止せずに測定ができる
(実際に使用している電池状態の評価可能。) - 溶解速度が大きな材料の電気化学特性が解析ができる
(Al 合金や Mg 合金の耐食性の評価可能。)
- 具体例①電池の充放電を停止せずに測定ができる
従来技術との比較
時間とともに反応速度が変化する系への適用が可能
IV 具体的な取り組み
充放電中のリチウムイオン二次電池の特性評価
- 一度の充電放電で正極・負極・セル全体のインピーダンスが同時に測定できる。
- 測定・解析時間の大幅短縮が実現できる。
星 芳直,四反田功,板垣昌幸, Electrochemistry, 84,892-898 (2016).
クロメート皮膜の自己補修機構の解析
- クロメート皮膜の自己補修の様子をインピーダンスで追跡できる。
星芳直, 表面技術, 70, 77-81 (2019).
V 求める連携先・メッセージ
求める連携先
”3D インピーダンス法” は以下の研究に適用することで,特長を最大限に活用できます。
- 使用環境下におけるエネルギーデバイスの健康診断
(リチウムイオン二次電池,マグネシウム空気電池など) - 新規開発材料の電気化学特性評価
(Al 合金, Mg 合金,表面処理鋼板 など) - 実構造物の腐食モニタリング
(鉄筋コンクリート構造物,大気腐食センサーなど)
メッセージ
電気化学インピーダンス法はエネルギーデバイスや環境材料の評価・モニタリングに優れた手法です。測定における注意点や測定されたデータ解析など「 技術相談 」を通して研究展開に寄与できれば幸いです。
★本技術資料について星先生による解説付きの動画はこちら
Ⅵ 本技術に関する情報
試作品の状況
未定
研究フェーズ
2.基礎固め
(1.原理検証/2.基礎固め/3.開発研究/4.実用性評価/5.技術移転可)
文献・特許の情報
● 芳直,板垣 昌幸 , “3D インピーダンス法の原理とその応用” ”, 表面技術 , 72, 462 466 (2021).
● 芳直,板垣 昌幸 , 電気化学インピーダンス法の基礎” ”, Electrochemistry , 86, 242 245 (2018).
● 芳直,四反田功,板垣昌幸 , 時間情報を保持したインピーダンス測定法の各種材料解析への 適用方法についての最新動向””, Electrochemistry , 84, 892 898 (2016).
本件に関するお問い合わせ
名古屋工業大学産学官金連携機構
〒466-8555 名古屋市昭和区御器所町字木市 29番
TEL:052-735-5627
Email: liaison@adm.nitech.ac.jp
URL: https://technofair.web.nitech.ac.jp/
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