技術資料

ポテンショ/ガルバノスタットにおける供給電源由来のノイズについて

I アース接続の重要性

ポテンショ/ガルバノスタット等の電気計測器は100Vの電源コンセントから供給される電力を使って動作しています。計測器は、電源コードのアース端子の電位を基準にして、正しく動作するように設計されています。そのため、アース端子がアースに接続されていない状態では、計測器が正しく動作せず、不安定な動作となってしまう可能性があります。
また、電源コードがアース端子に接続されていることはノイズの抑制のためのみならず、機器の
誤動作や万が一漏電した際の安全性を担保するためにも、非常に重要です。
計測器に接続する電源コードは、製品に付属されている接地端子付きの3極式コードを使用し、
OA タップなどで中継する場合には、途中でアースラインが途切れていないことを確認する必要があります。

II 正しい接続方法について

計測器に接続する電源コードは、製品に付属されている接地端子付きの3極式コードを使用します。
また、OA タップを介して計測器を接続している場合は注意が必要です。よくある例としては、
接地極のあるOA タップを使用しているにも関わらず、大元のコンセントが接地極の無い2極式のコンセントに繋がっている状態です。この状態だとアース線が繋がっていないことになるので、アース線の電位が不安定になってしまい測定結果の品質に影響する可能性があります。 下図の接続例を参考にポテンショスタットの大元の電源への接続が適切かどうかご確認ください(図1)。

計測器の電源コード接続例

図1.計測器の電源コードの接続例

III 実例

実際に、接地極の無い2極式のコンセントに繋がっている場合、測定結果にどのような影響があるのか、実験して比較しました。 測定条件は以下の通りです。

■計測器:Bio-Logic社製ポテンショスタット SP-300
■対象物:1MΩ抵抗(±1%)
■測定条件:電源コードが2極もしくは3極それぞれの状態において、対象物に10Vの電圧を印加
計測される電流値を0.1秒ごとに記録


図2に結果を示します。

1Mohm抵抗の測定結果

図2. 1MΩ抵抗のクロノポテンショメトリー測定結果比較(青線:電源コード2極、赤線:電源コード3極)

青が2極式で電源接続、赤が3極式で電源接続している場合の結果です。
視覚的にも電源ケーブルのアース端子が接続されていないと測定結果に影響を及ぼすことが分かります。
全測定点の平均値を比較すると以下の通りです


●2極式:10.0μA± 33nA (10μA電流レンジ使用)
●3極式:10.0μA± 4.9nA (10μA電流レンジ使用)


なお使用した計測器の電流値測定確度は「電流レンジの0.1%±測定値の0.03%」です。今回の場合だと測定値が10μAなので、測定確度は±13nAであり、3極式での場合は範囲内ですが、2極式の場合はこの範囲から外れてしまっています。
以上より、計測器のグラウンドが電源コードのアース端子に接続されていないと、計測器の測定結果に影響を及ぼすことが分かるかと思います。

計測器を使う際は、計測器の持つ能力を最大限生かすためにも、正しい配線を行うことが重要です。意外と見落としがちな点なので、ご使用中・これから使用予定の装置の電源への接続について改めてご確認ください。

IV 参考

・弊社作成『EC-Lab によるアプリケーション別測定および解析例Rev.H』(p362)
・弊社作成『EC-Lab ユーザーのための電気化学測定におけるノイズ対策 Rev.B』(p10)

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