技術資料

はじめて電気化学測定を行うときの注意点

Q1 はじめて電気化学計測器をセッティングする際に気を付けることは何ですか?

A 電気化学測定は、小さな電極表面で起こる電子の動きをボルタモグラムで可視化します。
そのため、電気的なノイズの少ない環境に装置を設置し、使用する電源(コンセント)についても3芯のアース付きの電源を使用してください。3芯のOAタップはコンセント部分で緑色のアース線が浮いている事例が多数あるのでご注意ください。

Q2 測定結果にノイズが乗るのですが、原因は分かりますか?

A 測定時のノイズには様々な要因がありますので、一つずつ下記の項目を確認してください。
・電源のアースはしっかりと取れているか?
・測定ケーブルが長すぎないか?
・近くに大きな電力を消費する装置はないか?
・実験机に振動はないか?
・スターラーで攪拌を行っていないか?
・参照電極の液洛部(イオン透過性ガラスやセラミック)が目詰まりして抵抗が大きくないか?
・ワニ口クリップが断線しかかっていないか?セルケーブルのバナナプラグ部は線を引っ張らず、 コネクター部分を手で持って抜いてください。
・μA以下の微弱電流を測定する場合は、アースに繋がったファラデーケージ(導体でできた箱やかご)内で測定を行ってください。

Q3 CV測定のピーク位置が測定ごとに変わってしまうのはなぜでしょうか?

A 測定の日によってピークの位置が変わるのであれば、参照電極の電位が安定していない可能性があります。参照電極の電位チェックを行ってください。方法は参照電極の正しい保管とチェックのトピック を参照ください。CVの多重掃引の場合、電極表面の汚損や膜の生成によりピーク位置がシフトすることがあります。

Q4 作用電極には何を使えばよいですか?

A 一般的によく用いられるのはガラス状カーボン(GC)電極や白金(Pt)電極です。タンパク質などの生体サンプルの場合は、金(Au)電極を使用することもあります。

Q5 CV測定をするとよく分からないピークが出てきます。これは何でしょうか?

A 様々な要因が考えられます。まずは、溶媒と支持電解質でバックグラウンドを取ってください。白金電極の場合、白金自身の酸化膜やその還元ピークが見られます。支持電解質に含まれる汚染物質である可能性もあります。この場合、支持電解質の濃度を2倍、3倍に変えて該当するピークが順次大きくなるかどうか、確認してください。また、水溶媒の場合は水の電気分解が起こりますので、分解が起こらない範囲で測定をする必要があります。測定可能な電位範囲(電位窓と呼ばれる)は電極種やpHにより異なります。

Q6 測定前に溶液の脱酸素は必要ですか?

A 溶存酸素の還元ピークがボルタモグラムに乗る場合がありますので、基本的に除酸素は行ってください。また、酸化されやすい還元物質は溶存酸素により酸化される場合もあります。純度の高い、窒素ガスやアルゴンガスを使用してください。サンプル溶液の量が少ない場合、脱酸素時間が長すぎると溶媒が蒸発してしまうので、濃度を算出する場合は注意してください。

Q7 参照電極の先端の液洛部(イオン透過性ガラスやセラミック)が着色しましたが使用できますか?

A 各種金属イオンや錯体などの場合、液洛部に着色が見られることがあります。着色しても、参照電極の電位のシフトがなければ使用可能です。

Q8 作用電極の前処理(研磨)がきれいにできているか確認する方法はありますか?

A 顕微鏡での表面観察で電極の傷等は確認できますが、電気化学的な活性迄は見ることは出来ません。代表的なチェック用の酸化還元物質としてフェリ/フェロシアン化カリウム鉄のCV測定を行い、酸化還元ピークの電位差が70 mV (ベストは60数mV)以下になる状態であれば、電極のコンディションは良いと判断できます。なお、電極の研磨後は超純水及びサンプル溶液で共洗いをしてから使用ください。キムワイプ等で表面を拭かないでください。
参考チェック液:1 mM フェリシアン化カリウム in 0.5M KCl

Q9 非水系で測定する場合の溶媒は何が良いですか?

A まずは測定対象物がその溶媒に溶けることに加え、支持電解質を溶かし十分な導電性が得られることが必要です。支持電解質をよく溶かし、よく解離する溶媒として(誘電率が高い)、アセトニトリル(AN)、ジメチルフォルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)があります。

Q10 CV測定を行った溶液は1回毎に替えないといけませんか?

A 電極表面で反応する量は電極近傍から数百nm程度の厚みで、セル内のバルクまで反応は進みません。測定の都度替えなくても大丈夫です。 

Q11 カウンター電極での反応は無視しても大丈夫ですか?

A 基本的に3電極測定では作用電極の反応のみをモニタリングしますので、無視していただいて問題ありません。ただし、対極での電解生成物が作用極での目的の反応に影響を及ぼす場合は、ガラスフィルターなどで対電極を隔離する場合があります。ただし、カウンター電極は作用電極との間に電流が流れるため、イオン透過性ガラス等、細かい目のフィルターは使用できません。 

Q12 参照電極は測定溶液に直接浸けても問題ないですか?

A 基本的には問題ないですが、参照電極に液洛部があるため、参照電極の内部液が測定液に微量ながら漏れることがあります。例えば、Cl-イオンの混入を嫌うサンプルなどでは、ダブルジャンクションタイプの参照電極を用いたり、塩橋を用いて参照電極を別ビーカーに浸漬したりして測定を行う場合があります。この際、ダブルジャンクションの外管にはサンプル溶液を満たします。

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