技術資料

自動ガス供給回転電極システムについて

I はじめに

 触媒の電極表面での酸素還元反応(ORR:Oxygen Reduction Reaction)の活性評価を行うために回転電極装置とポテンショ/ガルバノスタットを活用することができます。回転により対流を制御した状態で電気化学測定行うことで、応答電流から物質移動の影響を取り除いて電荷移動反応を定量的に解析できる手法になります。

II 回転電極を用いたORR活性の評価方法

 回転電極を用いたORR活性評価方法について、NEDO PEFCセル評価解析プロトコル2023年版[1] R-1(Ⅲ-2-1)ORR活性評価方法(ハーフセル)について、表1をご参照ください。最初に電解液内の溶存酸素を取り除くために窒素ガスをバブリングし(①)、脱気した状態で電気化学測定からECAを求めます(②)。その後30分間酸素ガスをバブリングして電解液に酸素を飽和した上で(③)、5水準の電極回転速度条件に制御して電気化学測定を行います(④)。そしてKoutecky-Levich式を用いて物質移動補正を行ない、0.9Vと0.85Vでの質量活性(A/g-Pt)と面積比活性(μA/cm2)からORR活性をみています(⑤)。

RDEによるECA測定・ORR活性評価法

表1. RDEによるECA測定・ORR活性評価法

III 自動ガス供給回転電極システム

 回転電極を用いたORR活性評価を行うことのできるシステムイメージを図1に示します。専用のソフトウェアから回転電極、電気化学測定システムに加えてガス供給システムを一括管理することができます。ウォーターバスにセルを入れることで試験温度を制御することができ、ステージ昇降制御機能も搭載しているため電極を一度セルから取り出してバブリングにより付着した気泡を除去することもできます。更にBio-Logic社製制御ソフトEC-Labを用いることでKoutecky-Levichプロットを表示・解析することも可能です。

自動ガス供給回転電極システムイメージ図

図1. 自動ガス供給回転電極システムイメージ図

IV まとめ

 自動ガス供給回転電極システムを用いることでORR活性評価のガスバブリングから電気化学測定までの一連の流れを自動制御することができます。また、自動ガス供給システムは回転電極以外との組み合わせでもご提案することができますので、ご興味がございましたらぜひお問合せください。

V 参考文献

・NEDO PEFCセル評価解析プロトコル2023年版 https://www.nedo.go.jp/content/100963953.pdf

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