FAQ
燃料電池
燃料電池評価
ID.Q9
Q. 単セルとスタックセルの発電評価を1台の評価装置で可能か?
A.
まずは単セル試験から始めるけど、将来的にスタック評価もするつもりだから最初からスタック評価装置を入れたいという要望はよくあります。しかし、スタック評価装置で単セルの発電試験することはできますが、評価足り得るか試験ができるかで考えると推奨できません。
FC評価装置は基本的に最大流量に合わせて製作されるため、スタック評価のために製造された装置は、フルスケールが大きく単セルの試験では制御分解能が粗くなってしまいます。例えば、MFCの制御範囲は2~100%FSです。10セルスタック用でこの範囲をフルに使うとして、単セル時に単純に流量10分の1で試験をすると、スタック装置のMFCの0.2~10%FSの範囲で試験することになりますが、0.2~2%FSの領域はMFCが制御できません。対策としてMFCを多レンジ化したとしても、配管径や加湿器、背圧弁など多くの機能部品がスタック用の流量域に合わせて作られていますので、やはり装置全体のバランスが取れないのです。
計測器も場合は、大面積の場合と小面積の場合に同じことが言え、レンジ変更機能などが無ければ、大面積=大電流用の粗い分解能や精度で小面積=小電流の測定をすることになります。
このように、より詳細な評価をするべき単セルや小面積セルの評価が粗くなってしまうと、なかなかよい成果が得られません。実際将来を見越してスタック装置を導入したものの、最初の単セル評価で成果が得られず、スタックまで開発が進まなかったという事例は何度もありました。(弊社は単セル/スタック兼用装置の導入をお奨めしないため、このような導入失敗事例はありません)
装置全体のバランスや性能保証を考慮して使用に足る運用範囲の目安は、MFCと同じ2~100%FSと考えた方がよいでしょう。FC評価装置は”大”は”小”を兼ねませんので、サンプルのレンジに合わせて用意するのがベストです。
単セル/スタック兼用の装置にしたとしても、一度に評価できるサンプルは1台1つだけで、同じ並行に試験ができるわけではありませんので、試験スケジュールの管理も課題になります。