Lake Shore Cryotronics Inc.(レイクショア / USA)
4ch 低温温度コントローラ 350型
350型は、He-3ポンピング冷凍機、断熱消磁冷凍機、希釈冷凍機など 小さな熱出力と高い温度測定精度を必要とするアプリケーションに理想的な温度コントローラです。
4chの抵抗センサー入力とPID制御ループ、75Wと1W(最小レンジ100µW)高精度ヒーター出力を持ち、適切なセンサーとの組み合わせで 低温100mKから1505Kの温度を測定/制御できます。特にセルノックスセンサー使用時は励起電流を最小にし、自己発熱の影響を最小限に抑えるよう設計されています。
更に 4chダイオード/抵抗センサー、1chキャパシタセンサー、2ch熱電対 いづれかを追加増設できます。
株式会社東陽テクニカ 脱炭素・エネルギー計測部
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特長
最低温度100mK
- セルノックスセンサーの性能を最大限に発揮
- ノイズ低減入力回路(特許)により実現した低電流エキサイテーション(10nA)
- 最小表示分解能:0.00001K
4チャンネルセンサー入力
- 測定用に2チャンネル、制御用に2チャンネルとして使用可能
- 抵抗センサーに対応
- ダイオード、キャパシタンス、熱電対に対応(オプション)
- 8 チャンネルまで拡張可能
- 熱起電力誤差を補償する電流反転機能
4チャンネルPID 制御ループ
- 75W、1W、1W/±10V、1W/±10V
- 5レンジのヒーター出力(最小レンジ100µW)により、高分解能な温度制御が可能
センサーに名前が付けられるラベル機能
Ethernet、USB、GPIB I/F標準装備
350型は、He-3ポンピング冷凍機、断熱消磁冷凍機、希釈冷凍機、その他の小さな熱出力と高い温度測定精度を必要とするアプリケーションに理想的な温度コントローラです。
350型は、特許取得の「ノイズ低減入力回路」により、100mKからの極低温アプリケーションで性能を発揮します。セルノックスセンサーと組み合わせた時、励起電流を最小10nAに抑えられるよう設計されているので、自己発熱の影響を最小限に抑えることができます。
4つの温度センサー入力チャンネルは、セルノックスセンサーを始め、酸化ルテニウムセンサーや白金抵抗温度センサーを含む抵抗温度センサーに対応しています。
4つの独立したコントロール出力は、ヒーターや極低温冷凍機システムの補助デバイスといった幅広いInput/Outputの要求をサポートします。また、標準搭載のコンピューターインターフェースにより、リモート通信、リモート制御、他のシステムとの連携を可能にします。
テクノロジー
センサー入力
350型は、セルノックスセンサー入力に威力を発揮します。その他にも白金抵抗温度センサー、酸化ルテニウム、その他の負係数抵抗温度センサーを標準入力としてサポ ートしています。
4つのセンサー入力チャンネルは、それぞれに電流源がある為セトリング時間が早く、また、ノイズを減らして温度測定の再現性を得る為に、他の回路と光学的に絶縁されています。
電流反転機能により、抵抗センサーの熱起電力誤差を取り除くことができます。 9つの励起電流レンジにより、100mKから420Kまで(セルノックスセンサー使用時)の温度測定とコントロールを可能にします。
350型は、選択されたセンサーの種類に従って自動で最適な電流とゲインのレベルを決定します。また、低温での自己発熱効果を最小限にするように自動で電流レンジを下げます。
それぞれの温度センサー入力チャンネルに名前を付けられるので、ディスプレイに表示されている測定値を容易に識別することができます。
温度制御
350型は4つのPID コントロール出力を備えています。
DC可変電流出力には、メインウォームアップヒーターのコントロールの為の75W出力と、サンプル付近の繊細なヒーターコントロールの為の1W出力が備わっています。
さらに2つの1WのDC可変電圧出力は、希釈冷凍機のスティルヒーターや断熱消磁冷凍機を駆動する電磁石電源の補助デバイスに使用されます。
350型は、温度セットポイントとコントロール用センサーからのフィードバックに基づいて正確なコントロール出力を計算します。 細かい制御の為にPIDの値を手動で設定することができます。また、温度制御ループのオートチューニング機能は、チューニングプロセスを自動化することができます。
セットポイントランプ機能は、オーバーシュートや過度のセトリング時間を心配することなく、滑らかで連続的なセットポイントへの温度変化を可能にします。
10の異なる温度ゾーンについてセンサー入力と励起電流を設定するゾーンセッティング機能を使用すれば、必要な温度範囲全体にわたって連続的な測定と制御を行うことが可能です。
インターフェース
350型には、Ethernet、USB、GPIB(IEEE-488)のインターフェースが備わっています。
データ収集に加えて、350型のほとんど全ての機能をコンピューターインターフェースを介して制御することができます。
Ethernet は、世界のどこからでもインターネットを介して350型にアクセスしモニタリングすることができるので、コントローラや冷凍機システムのリモート共有も可能です。
LakeShore社のカーブハンドラーをコンピュータにダウンロードすれば、センサーの校正データを簡単に入力・編集して、350型の不揮発性フラッシュメモリに保存することができます。
それぞれのセンサー入力には、High & Lowアラーム機能が備わっています。ラッチング/ノンラッチング操作も可能です。
2つのリレーは、フォルト状態を知らせたり、単純にオン/オフの制御をしたりする為に、アラーム機能と同時に使用することができます。また、どのアラームにも割り当てることができ、手動で操作することもできます。
オートチューニングは、システムの特性を測定し、PIDの設定値を自動で計算する機能で、面倒な閉ループシステムの適切なPID制御値の選択プロセスを簡素化することができます。
1つのセットポイントに対してPID値が得られたら、ゾーンチューニング機能により新しいセットポイントに対してセンサー入力を自動的に切り替え、100mKから1000K以上までの温度制御を可能にします。
350型リアパネル
- センサー入力
- ターミナルブロック(アナログ出力&リレー)
- Ethernet インターフェース
- USB インターフェース
- IEEE-488 インターフェース
- 電源
- Output2ヒーター
- Output1ヒーター
- オプションカードスロット
オプション
入力オプションカードのインストールにより、抵抗センサー/ダイオード、キャパシタンス、熱電対の入力を拡張することが可能です。インストール後は、オプション入力も他の入力と同じようにフロントパネルからラベル付けすることが可能となります。
3060-F 型 2 チャンネル熱電対入力カード
350型に2チャンネルの熱電対入力を追加するカードです。1000K 以上の温度測定を可能にします。
3061型 1チャンネルキャパシタンス入力カード
350型にキャパシタンス入力を追加するカードです。高磁場中、もしくは磁場が変化する中での低温測定の際に、磁場の影響を受けないキャパシタンスセンサーへの切り替えを可能にします
3062 型 4 チャンネルスキャナー入力カード
350型に4チャンネルの抵抗センサー/ダイオードのスキャナー入力を追加するカードです。
比較表
事例紹介
テクニカルレビュー 350型温度コントローラ 温度制御性能の評価
概要
東京大学 物理研究所 上床研究室様にご協力いただいて350型 温度コントローラの実証実験を行いました。
実験結果
[使用機器]
- 350型 温度コントローラ
- 希釈冷凍機(最低到達温度:50mK)
- 酸化ルテニウム抵抗温度センサ、
- マンガニンヒータ
電圧測定レンジ :1mV
励起電流 :10nA
推定自己発熱 :3.1pW