Evicomagnetics GmbH  (エビコマグネティクス / ドイツ)

高分解能 カー効果(Kerr効果) 顕微鏡

磁区や磁化プロセスを研究するために開発されたカー顕微鏡は、広い視野でサンプル全体を観察することや(30mm x 30mm範囲)、光学顕微鏡の限界を極めた微小スケールの観察(最高分解能分解能300nm)が可能です。
低コントラストな磁化イメージは、高度に画像処理され鮮明に映し出されます。また、任意の領域を選んで光学的にその部分の磁化曲線を測定(MOKE磁化測定)できます。その際、同じ領域の磁化像も同時並行的に記録できます。

株式会社東陽テクニカ 脱炭素・エネルギー計測部
phone03-3245-1103
Mail:keisoku[at]toyo.co.jp

特長

  • 最高級の偏光顕微鏡(カールツァイス)
  • 高分解能かつ高感度なデジタルCCDカメラ(浜松ホトニクス)
  • 安定性の高いLED光源
  • X-Y-回転サンプルステージ
  • コントラスト調整のための可変しぼり(縦・横・極カー効果の感度)
  • 楕円偏光を修正し、かつ多層サンプルにおいて深さ方向に選択的な観察をするための回転式波長板
  • 数十ミリメートルから数マイクロメートルまでの観察範囲 (基本構成は以下2通りです)
    ・標準システム 範囲:100μm ~ 5mm、最高分解能 300nm
    ・広視野コンバインシステム 標準システムと30mm ~ 8mm角のワイドレンジの構成

標準システム

広視野顕微鏡付きコンバインシステム

磁場印加オプション

  • サンプルに300 mT(標準、サンプルサイズ35mm)および1.3 T(高磁場、サンプルサイズ4mm)までの面内方向の磁場を印加できる回転可能な電磁石
  • サンプルに200 mTまでの面内方向の磁場(XY方向にコンピュータ制御可)を印加できる四重極磁石
  • サンプルに垂直な磁場を0.9 Tまで印加できる電磁石
  • サンプルに100 mTまでの磁場を印加できる空芯コイル
  • エプスタイン試験法のための電磁鋼板シート状の磁石、M(H)ループの記録と組み合わせる
  • 磁石ホルダー、サンプルステージから独立して回転可
  • 電磁石電源(バイポーラ)

ソフトウェア KerrLab

  • 観察像から背景像をリアルタイムに差し引いて磁区像を表示
  • 磁化する過程の静止画と動画を記録
  • 多彩な磁場制御:DC磁場、AC磁場、回転磁場、脱磁
  • サンプル表面の磁化曲線測定:磁区像の同時記録、ファラデー補正、ループシフト補正可
  • シャトルホイールによるエルゴノミックコントロール
  • LabVIEWベースソフトウェアでユーザーによる拡張可

オプション

  • 極低温(5 K)から室温、あるいは超高温(850 K)までの範囲でサンプルの温度を制御しながら、光学測定ができる
  • 時間分解能5nsecの増倍管を利用して200kHzのストロボスコープ的な画像取得ができる(LED光源の場合は最速25 KHz)
  • 高分解能な顕微鏡と広いエリアを観察する光学系を組み合わせることもできます。

事例紹介

珪素鋼板:無方向性電磁鋼板を2種類の顕微鏡(広視野、高分解能)の組み合わせで観察した例


100μm広視野

10μm高分解能

磁化曲線:多層膜Ni/Cu/Coの表層を選択的に観察したもの

横方向-縦方向の感度:(100)-FeSi表面の横方向と縦方向の感度の比較実験

Ni81Fe19:幅500nmのナノワイヤにあらわれた磁場構造

論文

speaker

カー顕微鏡における感度性能の向上

I. V. Soldatov および R. Schäfer、Rev. Sci. Instrum. 88, 073701 (2017)
広視野磁気光学カー顕微鏡におけるコントラストを向上させるための新しい技術を紹介します。
直交する面内感度を持つ磁区像がリアルタイムで同時に表示され、純粋な面内または極カーのコントラスト像が得られます。

speaker

定量的カー顕微鏡技術の進歩

I. V. Soldatov および R. Schäfer、Phys. Rev. B 95、014426 (2017)
磁区のベクトルイメージングへの高度な広視野カー顕微鏡技術を紹介します。
この方法はパターニングされたパーマロイ膜とGaMnAs半導体膜における磁化過程の調査に使用しました。

speaker

広視野カー顕微鏡における高度なMOKE磁力測定

I. V. Soldatov and R. Schäfer, J. Appl. Phys. 122, 153906 (2017)、
この論文では、電動アナライザーに基づく高度な実験手法が導入され、ファラデー効果の寄与を補償できるため、純粋な MOKE (磁気光学カー効果) ループが得られます。
この技術を搭載した広視野カー顕微鏡は、レーザーベースのMOKE磁力計としてよく機能し、さらにドメイン画像を提供し、カーループ解釈の基礎データを提供します。

speaker

カー顕微鏡によるサブ解像度が必要となる対象のサイズ分析

I. Soldatov, W. Jiang, S.G.E. Te Velthuis, A. Hoffmann and R. Schäfer, Appl. Phys. Lett. 112 (26), 262404 (2018)
分解能限界よりも小さい磁性体のサイズを定量的に測定するためのカー顕微鏡手法が提案されています。
磁壁、バブルドメイン、磁気スキルミオンバブルハイブリッド微細構造に適用できます。

speaker

磁性膜の異方性特性評価のための高度なカー顕微鏡ベースのMOKE磁力測定

I.V. Soldatov, J. Zehner, K. Leistner, T. Kang, D. Karnaushenko and R. Schäfer, JMMM. 529, 167889 (2021)
マルチコンポーネントカーイメージング技術に基づいて、システムの機械的調整を必要とせずに、面内異方性を持つ磁性フィルムの任意の面内磁場方向に沿った磁化反転ループを測定するための完全自動化手法を開発しました。