TEDSセンサ入門
はじめに
IEEE 1451.4はアナログ測定センサに組み込まれた不揮発メモリに編集や処理をするための通信規格です。メモリに保存されたデータはテストシナリオの自動実行などに利用できます。このデジタル情報を、TEDS(Transducer Electronic Data Sheet)と言います。
- センサに関する情報が保存できると、以下のような利点があります。
- 複数チャネルを使ったテストでは、センサ間で校正値、型番、シリアル番号、その他のデータ読取装置が必要とする仕様値のやりとりが行えるのでテスト作業が迅速化できる。
- 高機能シグナルコンディショナは自動でセンサの校正データを確認し、それを基に出力信号を調整できる。
- ISO 9001やQS 9000のデータ記録要件を満たしつつも書類ミスを減らすことができる。
- ハードウェア/ソフトウェアのセットアップの時間が大幅に短縮できる。
- 複数のケーブルをたどってセンサの特性を確認する手間が省ける。
TEDS対応のPCB Piezotronics社のインパクトハンマ、インピーダンスヘッド、一軸・三軸加速度計については、ウェブ・サイトをご覧ください。
理論
TEDSはセンサ内の不揮発性メモリで、センサ情報を保存することができます。製造メーカは、このTEDSチップに初期情報として製造メーカ名、センサタイプ、モデル番号、シリアル番号、校正データなどを書き込むことができます。エンドユーザは、メモリの余っている領域に位置特定情報、最新の校正日、その他センサ独自の属性情報を追加できます。
センサは、アナログ、デジタルの混合モードで動作します。デジタルモードの時のみTEDSチップに保存されたセンサ情報を使用することができます。アナログモードでは、通常の測定装置として機能します。センサメモリへのアクセスには、適切なTEDS対応のシグナルコンディショナまたはデータ収録装置のフロントエンドが使われます。デジタル通信は、アナログ測定の信号伝送で使用されるのと同じ導線を経由して行われます。関連するデータのデジタル転送が終わるとメモリ回路はオフになり、センサは通常のアナログ動作を再開します。TEDSセンサは従来のシグナコンディショナで使用されることもありますが、メモリにはアクセスできません。従来のセンサもTEDSシグナルコンディショナで使用できますが、TEDS機能は利用できません。
このアーキテクチャは万国共通のIEEE 1451.4 Smart Transducer Interfaceの規格で規定されているので、製造メーカに関係なく、どのTEDSセンサであってもあらゆるTEDSシグナルコンディショナからアクセスできます。PCB®は、規格に適合した製品を取り扱っており、数多くのTEDS対応のセンサ、シグナルコンディショナを世界中で販売しています。
アプリケーション
TEDSメモリ回路は、従来のシグナルコンディショナ回路と共にICP®センサ内に組み込まれています。ICP®センサ回路とTEDS回路の切り替えは、ダイオード絶縁で行われます。正極性電圧での順バイアス時では、センサは通常の測定装置として機能し、アナログ測定信号を出力します。センサに逆バイアスがかかり、負極性の電圧になるとTEDSメモリはアクセスできるようになります。TEDS対応のシグナルコンディショナは逆バイアス、または負の電圧パルスを出力します。これらのパルスがメモリに送られると、同じ2線経由でそのメモリの内容がシグナルコンディショナと制御用PCに送り返されます。そのデータはソフトウェアを使用してスプレッドシートまたはデータベースフォーマットでの処理(表示、チャンネルセットアップ、印刷、アーカイブ)ができます。TEDS回路は非常に小さいため、センサの質量には影響なく、センサ性能も低下しません。そのため、TEDS回路は実際ほとんどすべてのICP®センサに組み込むことができます(TEDSのスペースがない極小センサは除きます)。
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