圧電素子:水晶 vs セラミック

利点と用途

長年にわたり、圧電型加速度計用の受感素子として水晶またはセラミックのどちらを選択するかについて、
多くの議論がありました。今回は、水晶またはセラミックのいずれかが適している特定のアプリケーションを挙げながら、それぞれの利点を検証します。

第一に、水晶は自発的に圧電性であるという利点を長い間認められてきました。あらゆる圧電素子の中で、水晶は最良の長期安定性を示します。水晶はパイロ効果を示さず、小さく安定した熱係数を示します。水晶は低静電容量のため、高電圧を出力します(V=Q/C)。

多くの場合、水晶は超高温下では使われません。高い電荷出力を持つ圧電セラミック材料の方が適しているからです。内部インピーダンス変換に使用されるMosFETアンプは、一般的な内部電荷変換J-FETアンプよりも高いノイズフロアを持つため、電圧動作でやや高いノイズフロアがある場合もあります。時定数の設定に使われる抵抗は通常、チャージアンプシステムよりも大きいため、ノイズも若干大きくなる可能性があります。水晶のもう一つの制約は、自然分極のためにカットおよび形状の制約があり、環状シェア型水晶は作成できないことです。

水晶圧電素子は、下記の用途に適しています。
  • 優れた長期安定性による校正基準器
  • 極低温、環境ストレススクリーニング(ESS)/高加速寿命試験(HALT)/高加速ストレススクリーン(HASS)
  • 一軸および三軸構成の力センサ
  • タービン燃焼不安定性や風洞内の翼上の気流などの圧力計測
セラミック圧電素子の主な利点は、制御可能な分極プロセス(多結晶素子を様々な形状にできること)および高い電荷出力です。セラミック圧電素子を低ノイズのJ-FET内部アンプと組み合わせることで、実験室グレードのチャージアンプに標準的な長さのケーブルで接続された電荷出力型加速度計と同等の低いノイズフロアで優れた分解能を実現できます。その他の条件が同じであれば、電子回路を内蔵したアンプ内蔵型加速度計のノイズフロアは、外部チャージアンプを使用する電荷出力型加速度計のノイズフロアよりも低くなります。ノイズは総静電容量をフィードバック容量で割ったものです。センサと外部チャージアンプの間のケーブルの容量により、外部チャージアンプを使用したシステムの総容量は増加します。最近では、タービンエンジンなどの高温運転環境用に特殊セラミックが使われ始めています。

セラミックの制約としては、水晶よりも長期安定性が若干低く、温度係数が高くなります(ただし、数種の高温セラミックは水晶に近い性能を有します)。加えて、セラミックのパイロ効果のため、特定の爆発/衝撃用途には使用できません。

低ノイズ、軽量、柔軟な形状などの特長を備えたセラミック素子は、以下の用途に適しています。
  • 低ノイズフロアのICP®アンプ駆動センサ
  • 低コストのモーダル試験/自動車用NVH/低い信号レベルを長尺ケーブルで配線することが多い航空機用GVT
  • 超高温下(~482℃)で運用する航空宇宙用途
これは加速度計選択のためのガイドラインの一部ですが、結局のところ、動的な用途と様々な測定の種類には、常に微妙で詳細な点があります。ニーズに合った適切な加速度計を選択するためには、どうぞ弊社へお問い合わせください。