校正の不確かさ:ランダム対システミック
基礎の理解
前回説明した通り、校正の不確かさには、ランダムとシステミックの2種類があります。校正機関は不確かさを正しく報告する責任があるため、ランダムとシステミックの違いについて理解することが重要です。
ランダムとシステミックの2つは以下のように区別できます。
ランダムな要因によって引き起こされる不確かさは統計的測定方法によって決定されるのに対して、システミックな不確かさはより正確な方法で調査する必要があります。例として、加速度計の校正では、基準センサはシステム全体の不確かさの最大の要因になるため、基準センサの不確かさは常に重要な要因です。基準センサの不確かさは、ランダム要素とシステミック要素の両方からなります。重要な要素(重要度の順)は、トレーサブルな基準校正の不確かさ、ドリフト、ノイズです。
トレーサブルな基準校正の不確かさは、システム全体の不確かさの約80%を占めるパレートの原則を導く大きな要因となります。センサの真の感度値とは異なる校正機関によって提供される感度値があり、ドリフトを除いて、これらの感度値は変化しないため、この不確かさはシステミックと呼ばれます。この不確かさ要因の大幅な削減は、レーザ干渉計などによる正確な校正方法を使用することによって実現できます。
基準加速度計のドリフトは本質的にはシステミックですが、一般的にはランダムな要素も加わります。長期間で生じるドリフトは、加速度計の長期的なキャリブレーション結果の傾向を分析し、受感素子の材料を検証することにより実験的に決定することができます。例えば、水晶のドリフトは年間0.05%未満であり、基準加速度計に最適です。校正機関の環境管理範囲内では、残存温度(またはその他の環境影響)はランダムとして扱われ、統計的サンプリング試験方法によって取得されます。作業者による取付けやケーブル配線の力加減など、真にランダムな要因も統計的サンプリング試験に含まれます。
基準加速度計のノイズは、最も小さな要因であり、本質的に非常にランダムです。基準加速度計は校正機関では現実的な環境条件の影響を受けないため、センサが分離されていて静止している間に複数の測定を行うことで、寄与を判断できます。
結論として、不確かさを測定する校正機関では、同様の測定を行った他の校正機関やシステムと比較して結果確認することを推奨します。この比較検証プロセスには、校正機関間比較、熟練度試験、ラウンドロビンなどの多数の名前があります。このような試験では、安定した加速度センサがさまざまな校正機関で順々に校正されて比較され、校正機関同士の結果が規定された不確かさの範囲内で一致していることを確認します。不確かさに関するこの種の試験にご興味があれば、弊社までご連絡ください。