校正における相対運動

取付に関する注意事項

back-to-backの校正方法では、基準加速度計の既知の感度と測定された出力を使用して、シェーカーの加速度レベルを決定します。この情報は、測定された出力を用いてテスト対象センサの感度を決定するために使用されます。この方法で見過ごされがちな仮定は、両方の加速度計が同じ加速度入力を受けているということです。これが今回のトピックです。

相対運動は文字通り、2つの任意の点のそれぞれが動くとき、または一方が他方に対してに動くときに発生します。振動校正において、私達が関心を持つ任意の点は、基準加速度計とテスト対象センサの受感素子面です。もし、テスト対象センサが柔らかいばねを介して基準加速度計に取付けられることを想像すると、測定にさらに自由度が加わることは明らかです。その結果、2つの振動センサの間に同一の運動関係がなくなるため、正確な校正結果が得られません。

加速度計間で相対運動が生じる最も一般的な原因は次の2つです:
1. テスト対象センサ取付手段があまく剛性が不十分
2. 取付プラットフォームや表面のたわみ

取付上の注意事項を検討するには、まず加速度計には質量があり、その結果として慣性が生じることを考慮してください。加速度計が励起されると、加速度計の慣性力は当然この動きに抵抗します。この慣性力は水晶受感素子を圧縮/伸張させて測定処理が可能になりますが、同時に加速度計の取付治具も同様に圧縮/伸張します。取付のたわみは、加速度計の理想的な平坦な応答から逸脱させる要因となります。試験においても校正においても、平坦な周波数応答を実現するために、加速度計が基準または試験対象製品にしっかりと固定されていることを確認します。加速度計/構造体同士を密接に接触させる(および相対運動を回避する)他に考慮すべき点としては、加速度計の底面や取付面の溝またはバリを取り除き、できるだけ表面の凹凸を埋めるためにグリースを使用し、適切なトルクで取付スタッドを使用すること等があります。校正の目的は、加速度計の理想的な応答を測定して評価することです。加速度計のマウントは、様々な取付方法で行われる場合がありますが、センサの周波数応答に影響があることを認識しておく必要があります。

校正時に取付面のたわみを防ぐためには、構造力学を理解する必要があります。最近の校正用エキサイタのほとんどは、取付台の下に埋め込まれた基準を利用しています。取付台の共振周波数とモードは、共振周波数が校正の周波数範囲内またはその近くにある場合、テスト対象のセンサと基準の間の相対運動に影響します。この影響を避けるためには、スチールまたはアルミニウムの取付台は避けて、ベリリウムのように剛性が高く、軽量な材料を使用することが推奨されます。ベリリウムは最適な材質ともいえ、ほとんどの高性能校正シェーカーで使用されています。

東陽テクニカのセンサ校正とは?