TEDSに関する解説
測定の考慮事項
モデル番号が刻まれている加速度計を見て、次のような疑問を持ったことはありませんか?「計測できる周波数範囲はどれくらいか?正確な感度はどのくらいか?この加速度計が最後に校正されたのはいつか?」読者は、「この加速度計の情報が簡単に得られたら良いのに」と願うでしょう。実は、これはすでに実現されています。トランスデューサ電子データシート(TEDS)機能は、さまざまな種類のセンサの仕様情報をデータ収録装置(または試験担当者)に「伝える」ための標準化された手段です。米国オーランドで開催された国際モーダル解析会議(IMAC)で、The Modal Shopの構造試験製品グループマネージャであるMarco Peres氏は、ダイナミックセンサ業界におけるTEDSの歴史と現状について講演しました。現在、稼働中のTEDS式加速度計の推定数は20万台に近づいています。
TEDSの基本的な機能は、従来「アナログのみ」であった測定チャネルの部分に、デジタル通信の標準化された手段を提供することです。これは、適切な負の電源電圧が導入されると、標準の2線式のICP®加速度計がデジタル通信モードに切り替わることを可能にする「逆バイアス」方式によって実現されます。順バイアスでは、加速度計は正確なアナログ測定値に応答しますが、逆バイアスでは、加速度計は所定のサイズと形式のデジタルデータストリームで応答します。音/振動市場のアナライザが進化しICP®操作用の定電流電源が組み込まれたように、現在はほとんどのデータ収録装置に、TEDS機能を処理するための最小限な追加システム設計が含まれるようになりました。デジタルデータストリームをサポートしたことに加えて、TEDS規格(IEEE 1451.4)は、センサ情報を処理するための構造化された柔軟なフォーマットを定義しています。TEDS式加速度計は、製造元、モデル番号、シリアル番号、校正値(単位)のような標準情報を転送でき、さらには周波数応答伝達関数などの詳細な情報テストごとのセットアップ情報(向き、部品名、ノード名)などカスタマイズ可能な情報まで転送が可能です。Marco Peres氏のIMACでのプレゼンテーションでは、いくつかの一般的なテンプレートについてを説明しており、IEEEウェブサイト上で、TEDSの詳細に関する優れた入門書を提供しています。
TEDSを実装し、TEDSの使用を単純化する方法は?
規格化のおかげで、TEDS機能は事実上すべてのセンサメーカの標準機能またはオプションになりました。ユーザは、質問すれば良いだけです。データ収録装置(DAQ)にTEDS機能が含まれている場合、TEDS対応センサを選択することができ、TEDS対応センサは「プラグアンドプレイ」で動作します。ユーザが質問しない場合、センサベンダが選択したデフォルトテンプレートを使用してセンサにプログラムします。正確であることは確かですが、必要な情報やユーティリティがすべて揃っているとは限りません。まず、データ収録装置(DAQ)のベンダに問い合わせて、サポートしているテンプレートのバージョンを確認してください。使用できるテンプレートが決まれば、信頼できる加速度計メーカにプログラムを依頼すれば問題はないはずです。もう1つ注意すべきことには、多くのデータ収録装置(DAQ)は、TEDSプロセスの読取部分のみを処理します。この場合、データ収録装置(DAQ)は事前にプログラムされたTEDSセンサは読み取ることができますが、校正後の書き換えなどを、ユーザ側で更新する機能はありません。
ユーザが更新可能なフィールドを操作したい場合は、USBドングルを使って、センサにアクセスできるPC用ソフトウェアを使うとよいでしょう。ラップトップPCまたはデスクトップPCを使ってバイアスを逆点させ、後続のビットストリームをデコードできるようにします。読取/書込ユーティリティは、一部の加速度計メーカから入手でき、センサのTEDS情報の中身を積極的に更新/管理する予定がある場合は、非常に役立ちます。もう1つの選択肢は、年次の再校正の際に、校正機関にTEDS情報の更新を依頼することです。最新の校正システムには、TEDS書込機能が搭載されているものがあります。
TEDSを利用するユーザは多岐にわたるため、答えるべき質問の数は膨大なものになります。質問があれば、弊社にお問い合わせください。