伝達経路解析による音源の同定と寄与解析
エンジンなどの音源から伝わる音・振動の音源を同定し、各音源の寄与を求めることは音・振動問題に対して非常に有効な手段になります。伝達経路解析(Transfer Path Analysis 以下TPA)は、音源から伝達される音・振動の経路を把握し、音・振動の低減・設計を行う上で有効な手段と考えられていました。しかし、実際の計測・解析 にはノウハウや長期の実験期間が必要で一般業務に取り入れられることはありませんでした。近年実稼動データを用いた新しい手法の登場により、これまでの問題を解決し、更にシミュレーション精度を向上させる事が可能になりました。
■ 実験期間の短縮
音源と思われる部分にセンサーを取り付け、実稼動状態(シャシーダイナモによる走行、テストコースでの実走行)で計測を行うことで、これまでは車両1台で 2~3週間かかっていた計測が1日で終わるようになりました。 ハンマリング試験、スピーカによる音響伝達特性の計測を行う必要はありません。
■ 精度の向上
音・振動の伝達を考えるうえで一つの問題となるのはクロストークです。
PAKシステムではクロストークキャンセレーション( CTC)機能を用いることで、シミュレーションの精度が圧倒的に向上しました。
■ シミュレーション結果の応用
タイムドメインTPAの為、シミュレーション結果は時系列データになります。
シミュレーション結果を解析する事で、各音源の寄与を求めたり、音再生、フィルタを適用する事で音の予測や加工シミュレーションが可能です。
■ 応用例:
エンジン、吸気系、排気系からの伝達経路解析
ロードノイズの伝達経路解析
建築機器の伝達経路解析
プリンタなどの事務機器の伝達経路解析 ・・・etc
- 参考文献:
- 実稼動データによる伝達経路解析手法
能村幸介、吉田準史
2006年春季大会学術講演会前刷集No55-06 - Mueller-BBM社PAKシステム取扱説明書
- Mueller-BBM社セミナー資料