G200X ハイエンド 薄膜機械的特性評価装置
特長
- ISO14577に準拠した国際規格の硬度測定法を使用
- 薄膜の硬度を自動測定! ロックウェルと同様に圧痕観察は不要
- マイクロビッカースでは不可能な数mNレベルの押込み試験が可能
(膜厚の5~10分の1の押込み深さで硬度測定が可能) - 薄膜のヤング率も測定可能
- オートX-Y ステージを用いた多点自動測定
- 高精度ステージを用いたAFM/SPMオプション
テクノロジー
G200Xは、押し込み試験の第一人者Dr.Warren Oliverにより新たに設計された最新のナノインデンターで、薄膜からソフトマテリアルまで、硬度・ヤング率・動的粘弾性などの多岐にわたる機械特性を評価するための高性能ナノインデンターです。
連続剛性測定法(CSM/CSR)
連続剛性測定法(Continuous Stiffness Measurement; CSM)は、ひずみ速度や周波数による影響などの動的材料特性を定量化するために使用されます。 CSM手法では、押し込み試験中に圧子を微小振動させて、深さ、荷重、時間、または周波数の関数として材料の特性を測定します。この機能には、硬度とヤング率を深さまたは荷重の関数として測定する一定ひずみ速度(Constan Strain Rate; CSR)も含まれます。CSMは、貯蔵弾性率および損失弾性率を測定するProbeDMA™メソッドや、基板に依存しないヤング率を測定するAccuFilm™など、他の高度な測定オプションにも使用されます。
2次元機械特性マッピング (NanoBlitz3D)
NanoBlitz3Dは、材料の硬度・ヤング率等の機械特性マップを生成します。 平滑なサンプルであれば押し込み1点あたり1秒未満で最大40,000インデント(200×200アレイ)を実行します。測定時間は多少長くなりますが、粗さのあるサンプルにも対応します。試験点数を多くすることで、統計的な信頼性が向上します。ヒストグラムチャートは、複合材料において各組成や各相の材料をそれぞれ示します。 NanoBlitz3Dパッケージには、視覚化機能とデータ処理機能が含まれています。
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100kHzの高速データ収集
G200Xに搭載されるInQuestコントローラは、準静的モードとダイナミックモードを1台のコンパクトなコントローラで実現しています。100kHzという高速データ収集スピードにより、高分解能・高密度なデータ収集と高速なフィードバック制御を実現でき、ナノスケールの極微小な材料の機械特性も高感度に検出できます。
押し込みヘッド
機械的インデンテーション試験の全ての測定は、基本の「荷重(フォース)」と「変位」データより算出されています。 ナノインデンター・システムには、独自の電磁コイルベースの荷重制御機構が使用され、サンプルに対する非常に高精度な「荷重」の印加を実現しています。
コイルに流れる電流によって圧子軸は電磁力で下側に駆動され、同時に容量センサによって「変位」を高精度に計測します。容量センサとは完全に独立した2枚のリーフスプリングの採用によって、圧子の押し込み軸は安定に上下し、横方向の移動は全くありません。独自のセンサ/荷重制御機構の設計により、高精度で再現性の非常に高い、材料の機械的特性データが得られます。
仕様
InForce1000 (標準ヘッド)搭載時 |
InForce50 (高分解能ヘッド)搭載時 |
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荷重印加方式 | 電磁コイル | |
変位検出 | キャパシタンスゲージ | |
変位レンジ | >80μm | >50μm |
最大押しこみ荷重 | 1000mN | 50mN |
荷重分解能 | 6nN | 3nN |
変位分解能 | 0.04nm | 0.02nm |
測定位置確認 | CCDカメラ | |
測定モード (一部オプション) |
準静的モード(ISO14577準拠)、連続剛性測定法(CSR)、 粘弾性、スクラッチ、粘着力、 硬度・ヤング率の3D/4Dマッピング |
システム構成
- 電磁コイルベースの荷重制御機構
- 防振台及び環境の影響を防ぐキャビネット
- プリマウント型「バーコビッチ」ダイヤモンド圧子
- マウスコントロールによる自動モーションシステム
- カラーCCDカメラ
- 高速・高分解能InQuestコントローラ
- InView制御・解析ソフトウェア
- ディスプレイ一体型PC
測定機能
オプション
Gemini 2軸アクチュエータ
Geminiの2軸テクノロジーは、CSMを両方の軸に同時に動作させることができます。すなわち、標準の押し込み性能を2番目の横軸にももたらします。この特許取得済みの技術によって提供される追加情報は、材料特性と故障メカニズムを考察するために役立ちます。 2次元トランスデューサーは水平力とトライボロジー測定に必要であり、ポアソン比、摩擦係数、スクラッチ、摩耗、せん断、トポロジーの測定を可能にします。
サンプル加熱・冷却ステージ
加熱・冷却ステージオプションにより、サンプルをチャンバーに入れて均一に加熱・冷却しながら押し込み試験を行うことが可能です。このオプションには高精度の温度制御と、酸化を低減するための不活性ガスのフロー機構、および廃熱を除去するためのチラーが含まれます。 ProbeDMA(動的粘弾性)、連続剛性測定法(CSM)、NanoBlitzと組み合わせて使用することが可能です。
Nano Vision
Nano Vision ナノメカニカル顕微鏡は、押し込みヘッド内にある電磁コイルベースの荷重制御機構先端の圧子をサンプル表面をスキャンするプローブとして使用し、表面の3次元形状を測定するものです。NanoVisionは、クローズドループ制御付きの押し込みヘッドを、ナノインデンター・システムと組み合わせて使用します。ナノレベルの微小位置への押し込みや、機械特性のマッピングに対応します。 Nano Visionは、AFM(原子間力顕微鏡)のコンタクトモードに類似した動作をします。 標準ヘッドまたはDCM-Ⅱヘッドのどちらでも動作させることができ、押し込み試験に使用するダイヤモンド圧子でサンプル表面をスキャンします。 サンプルは圧子によってスキャンされると、圧子とサンプル表面との間の相互作用によって押し込み軸が上下し、その変位がサンプルの高さ情報として取り込まれます。 この高さ情報を用いて、表面の3次元形状が得られます。 スキャン結果として得られた3次元イメージは、材料の特性に関する貴重な情報を提供してくれます。 例えば、接触面積の計算において、パイルアップやシンクインという現象による影響を更に深く調べるのに使用することができます。 ナノメカニカル顕微鏡の非常に有用な用途として、3次元イメージを用いてそのまま押し込み試験の位置決めができることが挙げられます。 MEMSデバイスのような、非常にスチフネス(剛性)が低く、かつ複雑な形状をしたサンプルでも、Nano Visionによって、押し込み試験の正確な位置決めを行うことができます。 オペレーションモードとして、バッチモードと対話モードの2種類が標準で用意され、上記あるいは他の様々な用途に生かすことができます。
メーカーアプリケーションノート(英文)
Instrumented Indentation Testing with the KLA Nano Indenter® systems
ナノインデンターを用いた計装化押し込み試験
Effect of Annealing on 50nm Gold Films
50nm厚金薄膜のアニーリング効果の検討
In Vitro Complex Shear Modulus of Bovine Muscle Tissue (Steak)
ウシの筋組織(ステーキ)のin vitro複素弾性率
Strain Rate Sensitivity of Thin Metal Films by Instrumented Indentation
押し込み試験による金属薄膜のひずみ速度感受性測定