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技術コラム
2022/12/01

注目のパワートレイン試験用システム「ROTOTEST® EnergyTM」をアメリカで 販売スタート【再掲】

※本記事は2019年5月20日に掲載した記事の再掲載となります。情報はもとの掲載日現在の情報です。
最新情報と異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

ヨーロッパの主要自動車メーカーで多数の導入実績を誇る、パワートレイン試験用ハブ結合式シャシダイナモメータシステム「ROTOTEST® EnergyTM (以下、ROTOTEST)」。東陽テクニカは、2018年7月にROTOTESTのアメリカ国内における販売権を獲得。海外での販売を本格的にスタートしました。アメリカでのROTOTESTビジネスのキーパーソンである、Han(TOYOTech LLC※1 CEO)と木内(東陽テクニカ CTO 技術研究所長、元Honda F1プロジェクトリーダー)が、システムの優位性と今後の展望について熱く語り合いました。

ROTOTESTがもたらす車両開発の変革

ハブ結合式シャシダイナモメータシステム「ROTOTEST® Energy™」|モビリティ・テスティング|東陽テクニカ

ハブ結合式シャシダイナモメータシステム「ROTOTEST® Energy™」

Han: 車両開発において、パワートレイン試験は最も重要なプロセスの一つです。この試験の手法としては、これまでローラー式のシャシダイナモメータが一般的でした。

木内:私もHonda時代にいくつもの試作車を製作して、シャシダイナモメータでの試験を行っていました。
しかし、旧来のシャシダイナモメータでは十分な試験とデータ収集ができない、と開発者として不満を感じていたのも事実でした。試作車をシャシローラーの上に載せて試験するわけですが、直進しか想定されていないためステアリングを切ることができません。さまざまな道路状況や負荷を想定しての試験ができませんでした。

Han: タイヤを外して、それぞれのホイールハブに計測用の可動式ダイナモを装着して計測できるROTOTESTは、車両開発者が切望するシステムと言えますね。

木内:四輪それぞれ細かく計測ができることは、本当に大きいですね。しかも、ROTOTESTならステアリングも切れます。ステアリングを右に切った時、左に切った時、それぞれの車輪に対して、どのようにトルクが伝達されるのか正確にデータを収集できます。試作車を製作したあと、車の性能を熟成させるというプロセスで、貴重なデータ収集と解析が可能です。しかも、それが室内の台上でできるのは画期的です。

従来と比較して初期投資を大幅にカット

TOYOTech LLC CEO Bo Han 特別対談 東陽テクニカ CTO 技術研究所長 木内健雄|モビリティ・テスティング|東陽テクニカ

<特別対談>(左)TOYOTech LLC CEO Bo Han (右)東陽テクニカ CTO 技術研究所長 木内健雄

Han: ROTOTESTなら、ローラー式シャシダイナモメータと比較して初期のインフラ投資を抑えることができる点も大きな特長ですね。

木内:従来のシャシダイナモメータは、巨大なローラーを埋設するために、大規模な地下工事が必要です。この部分が、初期投資増大の一因でした。しかし、ROTOTESTであれば地下工事は不要になります。ローラー式と比較して初期費用を大幅に抑えることができます。

Han: これまで、ローラー式のシャシダイナモメータとテストコース、公道での実走行と3つの試験を採用していた自動車メーカーの皆さんにも、ぜひ注目してほしいです。急発進、急加速、急制動、段差に乗り上げた時の影響など、さまざまな走行環境を設定した性能試験を、ROTOTESTの台上試験に集約できます。実走行に頼っていたデータ収集も室内で可能になります。当たり前とされてきた試験プロセスもコストも、大きく変えることができると思います。

木内:試験システムの納品から稼動までに必要な期間も約2週間と非常にスピーディーです。試験開始までのスピードを短縮できれば、新たな競争力を生むことにもつながると思います。

実走行試験に匹敵するDMTS®の再現性

TOYOTech LLC CEO Bo Han 特別対談 東陽テクニカ CTO 技術研究所長 木内健雄|モビリティ・テスティング|東陽テクニカ

様々な道路環境を台上で再現できるDMTS ®

Han: アメリカで販売するROTOTESTには、東陽テクニカ技術研究所が開発したDMTS®(Driving & Motion Test Systemの略称。以下、DMTS®)の機能を、一緒に提供できます。

木内:東陽テクニカのROTOTESTは、シャシダイナモメータだけではありません。DMTS®を活用して、実走行に近い試験環境を台上で再現できます。シャシ、路面状況シミュレーション、映像データの3つを連動させることに成功しました。東陽テクニカが開発した、独自の追加機能です。DMTS ®ではリアル映像を採用します。例えば、自動車メーカー各社は、それぞれ公道の試験コースを設定していると思います。この動画データと高精度GPSデータをもとに、試験コースと同じ環境をラボの中で再現して、その道路環境に近い状態での走行テストが可能です。路面の勾配はもちろん、山道の傾斜まで再現できます。室内、台上でありながら、現実に近い状況での走行実験が可能です。

Han: 技術研究所でのDMTS ®開発に、これからも期待しています。

木内:大いに期待してください。日本での開発を継続して、アメリカのDMTS ®も随時アップデートしていきます。できれば、ROTOTESTとDMTS ®の組み合わせで、もう実走行テストが要らないかもしれない…というレベルまで、今後もシステムの機能アップを図っていきたいと思います。

NVH(音振動) 試験にもワンストップで対応
EMC試験にも対応を予定

Han: 東陽テクニカのROTOTESTは、パワートレイン試験だけではなく、 NVH試験※2環境も提供できます。さらに、EMC試験※3にも対応を予定しています。

木内:ガソリン車とディーゼル車だけだった時代と比較して、車両に求められるNVH試験もますます複雑になっています。EVと従来のガソリン車では、全く異なるNVH試験が必要になりますが、これらも全てROTOTEST内で完結できます。コネクテッドカーや自動運転車の開発をスピーディーに進めるためにも、東陽テクニカを新しいパートナーに選んでほしいですね。
今後、EV、コネクテッドカー、自動運転車の開発を進める中で、EMC試験もますます重要になっていくでしょう。

Han: 東陽テクニカには、EMC試験ソリューションで圧倒的な実績とノウハウが蓄積されています。世界のEMC統一規格を議論する世界会議に、日本代表で参加するほどです。自動車開発に携わる皆さんを、東陽テクニカはワンストップでサポートできます。

Han: 日本で長年培ってきた自動車計測のノウハウと技術力を生かし、米国のたくさんのお客様にも質の高いソリューションを提供したいと思います。ぜひ期待していただきたい。 元Honda F1プロジェクトリーダー木内と、開発に関してディスカッションするチャンスもあります。

木内:自動車開発に携わっている皆さんと積極的に意見交換して、開発をサポートしたいですね。これからの世界の自動車開発に、イノベーションを起こしたい。本気です。

※1:TOYOTech LLC:2015年、東陽テクニカが米国カリフォルニア州に設立した現地法人。
公式サイト:https://toyotechus.com/
※2:NVH試験:Noise/騒音、Vibration/振動、Harshness/ハーシュネスの頭文字。音振動試験。
※3:EMC試験:Electro Magnetic Compatibilityの略称。電磁適合性試験。

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