EV・HEV・PHEV 開発など、高電圧/強磁場環境下での安全・低ノイズ温度計測を実現
※本記事は2019年2月22日に掲載した記事の再掲載となります。情報はもとの掲載日現在の情報です。
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株式会社東陽テクニカ(本社:東京都中央区、代表取締役社長︓五味 勝)は、CAN※1 計測分野のパイオニア imc Test & Measurement GmbH(本社︓ドイツ・ベルリン、以下 imc 社)の CAN 出力計測モジュール CANSASflex シリーズに、今回新たに 2 製品、CAN 出力光ファイバー温度計測モジュール「imc CANSAS-FBG-T8」と専用の極小径光ファイバー温度センサ「imc FBG-Temp」を加え、2019 年 1 月 10 日より販売いたします。
CAN 出力光ファイバー温度計測モジュール「imc CANSAS-FBG-T8」と極小径光ファイバー温度センサ「imc FBG-Temp」は、これまで困難・危険であった高電圧あるいは強磁場環境下の対象物に直接取り付け、安全か つ低ノイズで温度計測ができる計測モジュールとセンサです。「imc FBG-Temp」は、先端の計測部を新たに開 発し業界最小クラスの 0.5 ㎜径を実現、EV(電気自動車)用モータ内部やバッテリセル間などの極小スペース にも挿入して直接計測ができます。また、計測データは「imc CANSAS-FBG-T8」から CAN バスで出力されるた め、汎用データロガーで手軽に記録することができます。一般的に使用される熱電対温度センサ※2 では強磁場由 来のノイズで測定が困難であった電気モータコイルの内部温度の低ノイズ計測や、車載バッテリセルおよび鉄道車 両パンタグラフの温度を感電の危険なく計測することができます。
※1:Controller Area Network (CAN)の略。ホストコンピュータなしでマイクロコントローラやデバイスが相互に通信でき るように設計された、耐ノイズ性の強化が考慮された堅牢なビークルバス規格。
※2:2 種類の金属線の先端同士を接触させて回路を作り、接合点に発生する熱起電力を通じて温度差を測定する温度センサ。
注目される全固体電池
開発が進む EV・HEV・PHEV など電動車の駆動を支える電気モータと車載バッテリの開発において、高精度の 温度計測は重要な項目です。電気モータの寿命と効率性には内部で磁場を発生させるコイルの温度が大きく影響し、また、車載バッテリの充放電効率と安全性を両立するにはバッテリを構成する各セルの高精度温度モニタリ ングが必要です。しかし、一般的によく利用される金属導体で構成され導電性のある熱電対温度センサには課題 があります。電気モータの強磁場によるノイズの影響でコイル温度を正確に測定することができず、また、数百ボル トを超える放電を行う最新のバッテリを計測する場合、ケーブルには太くて取り回しづらい被覆が必要で極小スペ ースに設置しづらく、且つ、作業者の感電の危険性を伴います。
これに対し、光ファイバーの内部に刻まれた回折格子の伸縮を計測することでファイバー周囲の温度あるいは歪 み計測を行う FBG(Fiber Bragg Grating)技術を用いると、磁場の影響を受けないため強磁場でも低ノイ ズ計測ができ、また、ケーブルも導電性のない光ファイバーであるため被覆が不要で、さらに、高電圧環境下におい ても測定中の感電の危険がありません。しかし、既存の FBG センサは、飛行機や橋脚などの大型建造物が対象 で長く太い光ファイバーを用いた製品が主で、また計測データ出力もメーカー毎の独自形式のため汎用データロガ ーへの記録ができず、手軽に利用できないという欠点があります。
imc 社のCAN 出力光ファイバー温度計測モジュール「imc CANSAS-FBG-T8」と専用の極小径光ファイバー温度セン サ「imc FBG-Temp」は、FBG 技術を利用することで熱電 対温度センサの持つ課題を全て解決し、高電圧/強磁場環 境下で感電の危険性なく安全・手軽に、ノイズの影響なしに 高精度の温度計測ができます。「imc CANSAS-FBG-T8」 にCAN バス出力機能を搭載しており、計測データを CAN バ スで出力し汎用データロガーで手軽に記録することができます。 加えて、「imc FBG-Temp」のセンサ先端部を直径0.5mm と業界最小クラスにし、極小スペースにも挿入可能で直接計 測ができるようにしました。さらに、「imc CANSAS-FBG-T8」 は、既存の「imc CANSASflex シリーズ」製品と同一の筐体 および接続機構を有しているため、他の電圧・歪み計測用モ ジュールの筐体に直接接続して外部配線なしに電源や信号 をやり取りすることが可能です。「imc CANSASflex シリーズ」ユーザーは熱電対センサと変わらぬ簡便さで温度計測が実 施できます。
従来は困難で危険が伴う、EV 用モータコイルへ直接センサを取り付けモータ稼働時の内部温度の計測、車載 バッテリの各セルの隙間にセンサを挿入し充放電中の温度モニタリング、鉄道車両のパンタグラフカーボンブラシにセ ンサを取り付け走行・送電中のパンタグラフの温度計測が、安全・手軽・高精度に実現できます。EV 開発におい ては、モータの耐久性・効率性の向上およびバッテリの効率化、鉄道車両開発においては、パンタグラフカーボンブ ラシなど高電圧部の耐久性向上に貢献します。
東陽テクニカは、電動車および鉄道車両開発を支えるモータトルクならびにバッテリ計測ソリューションを長年に わたり提供しています。今回、本 2 製品をラインアップに加えることで、高電圧/強磁場環境下での温度計測ソリュ ーションを強化し、高精度が求められる電動車および鉄道車両の開発により一層貢献してまいります。
CAN 出力光ファイバー温度計測モジュール「imc CANSAS-FBG-T8」の主な特長
- 扱いやすい 1 センサ 1 入力チャンネル(総入力チャンネル数:8ch)
- 汎用的な CAN バスインターフェースによるデータ出力
- 「imc CANSASflex シリーズ」の革新的なクリック接続に対応
- 最高サンプリングレート︓1kHz
極小径光ファイバー温度センサ「imc FBG-Temp」の主な特長
- 強磁場によるノイズの影響なし
- 高電圧環境下による計測中の感電の危険性なし
- 測定精度:±0.7℃
- 計測レンジ:-40~+190℃ (動作範囲:-40~+220℃)
- センサ部分の直径:0.5mm, 1.0mm, 1.5mm
- 応答時間:0.2 秒, 0.7 秒, 1.5 秒
製品データ
- 製品名: CAN 出力光ファイバー温度計測モジュール「imc CANSAS-FBG-T8」
極小径光ファイバー温度センサ「imc FBG-Temp」 - 販売開始:2019 年 1 月 10 日
imc Test & Measurement GmbH について
imc Test & Measurement 社は 1988 年にドイツ・ベルリンに創立された計測器メーカーです。Windows ベースの波形解析ソフトウェア「imc FAMOS」を開発し、1998 年には現在車両制御用通信バスとして広く採用 されている CAN(Controller Area Network)からのデータ計測とアナログ信号計測を 1 台で実現する技術の 提供を開始したことで、CAN 計測において世界トップクラスのメーカーの地位を確立しました。
imc Test & Measurement 社は“Productive testing”のスローガンの下、お客様の試験/解析業務を 効率化する製品の開発で多くの実績を上げ、現在は世界中へ活動を広げています。
imc Test & Measurement GmbH Web サイト:https://www.imc-tm.com/
本件に関するお問い合わせ先
株式会社東陽テクニカ 機械制御計測部
TEL:03-3245-1242(直通)
E-mail:ele2@toyo.co.jp
CAN 出力光ファイバー温度計測モジュール「imc CANSAS-FBG-T8」&極小径光ファイバー温度センサ「imc FBG-Temp」サイト:
https://www.toyo.co.jp/mecha/products/detail/imc_cansasflex_FBG.html
※本ニュースリリースに記載されている内容は、発表日現在の情報です。
製品情報、サービス内容、お問い合わせ先など、予告なく変更する可能性がありますので、あらかじめご了承ください。
※記載されている会社名および製品名などは、各社の商標または登録商標です。
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SOLUTION
光ファイバー温度計測モジュール「imc CANSAS-FBG-T8」
周囲の電場・磁場の影響を受けない専用の極小径光ファイバー温度センサ「imc FBG-Temp」を用いて温度計測を行うモジュール。計測データはCANバスで出力します。
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