May 15, 2024
徹底比較!BlazeMeter vs. JMeter
*本記事は Perforce Software社の以下のブログ記事(2024年5月24日時点)の参考訳です。
BlazeMeter vs. JMeter: A Breakdown
*ブログの内容は更新されている可能性があります。
テスト担当者は様々なテストを実施する必要がありますが、そのなかでも負荷テストは非常に重要なものと言えるでしょう。負荷テストは、ソフトウェアやアプリケーションがどの程度のトラフィック(すなわち「負荷」)に耐えることができるのかを確認するものであり、包括的なテスト戦略において重要な役割を果たします。
どのテストチームにも、よく使用する"お気に入りの"負荷テストツールというものがあるでしょう。現在、特に人気があるツールのひとつが、「Apache JMeter」です。JMeterは、アプリケーションの機能的な動作を負荷テストし、そのパフォーマンスを測定するための多彩な機能を備えています。ただ、非常に人気のあるツールではあるものの、いくつか欠点もあります。
本ブログでは、まずJMeterがどのようなツールであるか、そして何を得意とするかを具体的に説明します。その後、BlazeMeterとJMeterを比較し、両者を組み合わせて使用することで、より良い負荷テストを実施する方法をご紹介したいと思います。
JMeterとは?
JMeterは、Javaベースのオープンソースのソフトウェアテストツールで、パフォーマンステストおよび機能テストに使用されます。様々なソフトウェアアプリケーションのパフォーマンスを分析・測定することができ、主にWebアプリケーションのテストに用いられています。
JMeterは、数百人のユーザーを想定した負荷テストを実施して、アプリケーションのパフォーマンスに関する基本的なレポートを作成することができます。アプリケーションがどれだけ効率的に動作し、同時に何人のユーザーによる操作や接続まで対応可能なのかを判断するうえで、有用なツールです。
JMeterの特徴と利点
JMeterはそのリリース以来、最も優れた、そして最も人気のある負荷テストツールとされてきました。その理由は数多くありますが、例えば以下のようなものが挙げられます。
- オープンソースである
- オープンソースライセンスであるため、そのソースコードをユーザーが自由に使用できるというのが大きな利点です。また、無料で使えるというのも魅力的ですよね。
- 操作方法が簡単
- JMeterのインターフェースは直感的で、それほど時間をかけることなく、使い方を習得することができます。
- マルチスレッドに対応可能
- 複数の同時並行で動く機能のグループを、個別のスレッドグループとしてテストできます。
- 仮想ユーザーを使ったテストが可能
- 多くのユーザーからの同時アクセスや操作による負荷をシミュレートして、アプリケーションをテストできます。
- 様々なプロトコルに対応可能
- JMeterはHTTP、LDAP、JDBC、SOAP、FTP、JMSなどの基本的なプロトコルをすべてサポートしているため、あらゆるテストシナリオに対応できます。
- レコーディング機能がある
- ブラウザのアクティビティを記録して、テスト中にシミュレーションすることができます。
BlazeMeter vs. JMeter: どちらを選ぶべきか
JMeterが人気の負荷テストツールである理由の裏に、実はBlazeMeterの存在があることをご存じでしょうか。BlazeMeterは、JMeterの機能を補強し、さらに使いやすいオープンソースにすることを目指しています。JMeterとBlazeMeterはそれぞれに特徴のある双子の兄弟のような関係であり、一緒に使用することで、お互いの能力を高め合うことができるような存在です。
したがって、(両方を使用することができずに)どちらか一方だけを選ぶ必要がある場合、それぞれの特徴をよく考慮することが重要になります。
レポートと分析
JMeterは基本的なレポート機能を有していますが、BlazeMeterの高度なレポート機能や分析機能には及びません。JMeterで、BlazeMeterが提供するレベルの詳細なインサイトを得るためには、追加のプラグインをインストールする必要が出てくるでしょう。
スケーラビリティ
JMeterは単一のマシンで動作し、提供できる負荷も限られているため、小規模なテストニーズに適したツールです。一方、BlazeMeterは200万人以上のユーザーを仮想的に作り出すことができるだけでなく、クラウド上のインフラを活用して、その負荷を複数のマシンに分散させることができます。大規模なアプリケーションをテストする必要がある場合、どちらを選ぶ方がよいかはこの点においては悩まずに済みそうですね。
コラボレーション
テストをすべて一人で実施しているのでない限りは、テストワークフローにおけるコラボレーションは無視できない重要な要素になります。BlazeMeterは、テストチームの複数のメンバーが同時にひとつのプロジェクトに取り組み、テストスクリプトを共同作成したり、テストプランを共有したりすることを可能にします。JMeterでは通常、各メンバーが行った変更を手動でマージする必要があるため、ワークフローにおける不整合やミスコミュニケーションが発生してしまう可能性があります。
使いやすさ
JMeterは強力で柔軟な機能を持っていますが、その設定や構成が複雑であるとも言われています。一方のBlazeMeterは、ドラッグ&ドロップでテストの設定が簡単にできるなど、直感的で使いやすいインターフェースを備え、その優れたUXが高く評価されています。また、最新のAI技術を活用した新機能「Test Data Pro」が最近追加されたことで、BlazeMeterのテストは今まで以上に簡単に実施できるようになっています。
コスト
素晴らしいことに、JMeterは無料で使用できます。しかし、無料ツールである故に、必要な機能が足りていないということもあるかもしれません。BlazeMeterには無料プランと有料プランの両方が用意されており、有料プランでは様々な追加機能が利用できるだけでなく、大規模なスケーラビリティを実現することができます。
BlazeMeterとJMeterを組み合わせて使うメリット
JMeterはそれ自体で非常に優れたツールですが、スケーラビリティやチーム間でのコラボレーション機能などには限界があります。しかし、BlazeMeterと組み合わせることで、JMeterの負荷テストの機能を大幅に向上させることができます。
スケーラビリティの向上
JMeterだけでは数百人のユーザーを想定したテストが限界ですが、BlazeMeterを利用すれば、世界中の50以上のロケーションから、200万人以上のユーザーが同時アクセスするようなテスト環境を作り出すことも可能になります。複数のJMeterテストを同時に実行してテスト時間を短縮することも可能です。また、BlazeMeterを使ったテストは、プライベートネットワーク内でも、クラウド環境でも実施できます。
シフトレフトの実現
BlazeMeterは、JenkinsなどのCI/CDツールとのシームレスなインテグレーションが可能です。BlazeMeterの優れた自動化機能を利用すれば、CIパイプラインの一部として負荷テストを自動化させ、昼夜を問わずにビルドの度にテストを実施することができるようになります。
高度なレポートとコラボレーション機能
JMeterのレポートは提供されるデータが限られるため、テストの効率性という面ではBlazeMeterに劣るところがあるかもしれません。しかし、BlazeMeterを使用してJMeterテストを実施するようにすれば、BlazeMeterのダッシュボード上でテスト結果を視覚的に確認し、リアルタイムにインサイトを得ることが可能になります。JMeterのKPI(主要パフォーマンス指標)のリアルタイムな監視や、月ごとの傾向分析も容易になります。
レコーディング機能の向上
JMeterのレコーディングは複雑であると言われることが多いのですが、BlazeMeterと組み合わせることで、(HTTPやHTTPSプロトコル経由のリクエストなど)すべてのリクエストや実際のユーザー操作を簡単に記録して、それを基にテストスクリプトを自動的に作成することができます。また、既存のJMeterスクリプトやSeleniumスクリプトを利用したり、JMeterとSeleniumのスクリプトを組み合わせてテストを実施することも可能です。
充実したテストデータ
テストの良し悪しは、使用するテストデータの質によって左右されると言っても過言ではありません。BlazeMeterの高度なテストデータ生成機能を利用すれば、保護すべき機密情報、例えば実際の顧客データなどの代わりに使用できる合成データ(日付、時間、住所、クレジットカード番号など)を作り出して、JMeterによるテストに用いることができます。
サービスの仮想化による効率的なテスト実施
BlazeMeterのサービスを仮想的に作り出す機能を利用すれば、Web、モバイル、デスクトップ、パッケージアプリケーションのテスト環境をいつでも必要な時に整えて、JMeterテストを実施することができます。前述のテストデータ生成機能機能と組み合わせれば、テスト実行に必要なアセット(データや環境)をすべてひとつにまとめて複数チーム間で共有することができるため、時間の節約やテストカバレッジの改善にも役立ちます。
まとめ
当然のことですが、不具合のあるアプリを使いたがる人はいません。問題なく動くアプリを提供するための最善策は、厳しい条件で負荷テストを繰り返し実施しておくことです。現在市場には様々な負荷テストツールが出回っていますが、中でも優れたツールとして広く認識されているのは、Apache JMeterとBlazeMeterのふたつと言えるでしょう。
それぞれに利点があり、単独でも非常に優れたツールです。JMeterは無料で使用することができますし、BlazeMeterは他の負荷テストツールと比べて非常に高いスケーラビリティを誇っています。しかし、両者を組み合わせて負荷テストを行うことで、より大きな効果を得ることができます。JMeterの柔軟性とBlazeMeterの強力なテスト機能が組み合わさることで、信頼性が高く、堅牢なアプリを自信を持って提供できるようになるのです。
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