January 24, 2023
ベストなゲームエンジンとは?
*本記事は Perforce Software 社の以下のブログ記事(2024年7月30日時点)の参考訳です。
What Are the Best Engines?
*ブログの内容は更新されている可能性があります。また、記事内のリンク先は別途記載がない限りは Perforce Software 社サイトのページになります。
ゲーム開発において、ゲームエンジンの存在は欠かせません。問題は ”どの” ゲームエンジンを使うかです。
本ブログでは、一般的によく使用されているゲームエンジンを紹介しつつ、御社の開発チームに最適なゲームエンジンの選び方、そしてバージョン管理ツールとの連携方法について解説したいと思います。
目次:
- ゲームエンジンとは
- 最も使われているゲームエンジンは?
- よく使われるゲームエンジン
- どのゲームエンジンがベストなのか
- ゲームエンジンとバージョン管理ツールの連携方法
- 人気ゲームエンジンをPerforceツールと一緒に使おう!
ゲームエンジンとは
ゲームエンジンは、元々ゲームの開発のために使われていたソフトウェア開発プログラムまたは環境です。現在では、メディアやエンターテインメント制作(バーチャルエフェクトを含む)、ビジュアライゼーション(デジタルツインの開発など)、コラボレーションなど、様々な用途で使用されます。ゲームエンジンの機能には、アニメーションツールや人工知能、物理演算および衝突判定エンジン、オーディオエンジンなどが含まれます。
最も使われているゲームエンジンは?
最もよく使われているゲームエンジンと言えば、Unreal EngineとUnityの2つが挙げられます。
実際に、SteamやItch.ioでリリースされたゲームの多くにUnreal EngineやUnityが使用されています。
Unreal Engineがよく使われる理由:
- 高度なリアルタイム3D制作を可能にするオープンなプラットフォームを提供
- 様々なジャンルのゲーム制作に利用されている
- IDEやグラフィックツール、バージョン管理ツールなど、ゲーム開発に必要な他ツールとの連携が可能
Unityがよく使われる理由:
- 25以上のプラットフォームに対応した、クロスプラットフォーム・ゲームエンジン
- リアルタイム3D制作プラットフォームの代表格のひとつ
- IDEやグラフィックツール、バージョン管理ツールなど、ゲーム開発に必要な他ツールとの連携が可能
ただし、よく使われているゲームエンジンはUnreal EngineとUnityだけではありません。
よく使われているゲームエンジン
PC向け、コンソール向け、モバイル向けゲーム開発に使用できるゲームエンジンは数多くありますが、ここでは現在最もよく使われている、代表的なゲームエンジンを紹介します。
Unreal Engine
Unreal EngineはEpic Games社が1998年に開発した、現在最もよく使われているゲームエンジンのひとつです。Unreal Engine 4(UE4)愛用者がまだ多くいますが、待望の改善や新機能がいくつも実装されたUnreal Engine 5(UE5)もリリースされています。
Unreal Engineはドキュメントが充実しており、使いやすいという特長があります。コンソール向けから(AndroidやiOSなどの)モバイル向けまで、幅広いタイプのゲーム開発に利用できます。さらには、ゲーム開発の枠を超えて、自動車業界など他業界での利用も広がりを見せています。
初心者にも上級者にも多くの利用者を持ち、AAAゲーム開発者からインディースタジオに至るまで、幅広く利用されています。
例えば、Unreal Engineは『フォートナイト 世界を救え』をはじめ、Epic Gamesの数々のヒット作の開発に使用されています。他にも数えきれないほど多くのスタジオが利用しており、『モータルコンバット』のようなモバイルゲームもUnreal Engineを使って作られています。
長所
- ノンプログラマにも使いやすい、直感的なブループリントシステム
- ハイエンドなグラフィック制作に最適
- 他ゲームエンジンに比べ、高パフォーマンス
- VRにおすすめ
- Unreal Engine Marketpaceで無料のアセットが提供されている
短所
- 2Dやモバイルゲームよりは、3Dゲーム制作向け
- 高度な機能の利用には、ハイスペックなシステムが必要になる
- 導入の敷居が高め
Unity
UnityはUnity Technologies社が2005年に開発した、現在よく使われているゲームエンジンのひとつです。
Unityはスクリーンリーダーをサポートするなどして、ゲーム開発をより身近なものにしています。Unityを使用することで、プラットフォームに縛られることなくゲームを開発することが可能になります。当初はMacOS向けに提供されたゲームエンジンですが、現在では25以上のプラットフォームに対応しています。Unreal Engineと同様に、建築業界など、ゲーム業界以外での利用も進んでいます。
複数のプラットフォームで開発を行っているチームに特に選ばれています。あらゆるタイプのゲーム開発に使用でき、Android向けモバイルゲーム開発でも定評があります。
Unityはモバイル、PC、コンソール、Web向けゲームに加え、AR/VRゲーム開発でもよく利用されています。『Cuphead』や『Rick and Morty: Virtual Rick-ality』なども、Unityを使って作られたゲームです。
バージョン管理ツール「Helix Core」との連携用プラグインも用意されており、共に使うことで、ゲーム開発に必要な機能を手にすることができます。
UnityとHelix Coreを連携させたい方は、こちらのチュートリアルを参照してください。
長所
- 初心者が無料で使い始められる
- 柔軟で拡張性のあるエンジン。そのまま使えるコンポーネントの提供あり
- 2Dゲームと3Dゲーム開発のどちらでも使える
- モバイルゲーム開発を強力にサポート
- VR/ARソフトウェア開発キット(SDK)が用意されている
- 幅広いプラットフォームに対応
- Unity Asset Storeで無料のアセットが提供されている
短所
- プロフェッショナルライセンスが高額
- 新しいプログラミング言語を学習する必要がある
- 小規模開発チームは、ソースコードにアクセスできず
- 高度な機能の利用には、ハイスペックなシステムが必要になる
- UIが頻繁に変更される
- 外部ライブラリへのリンクがサポートされていない
- 操作が煩雑で時間がかかる
Godot
Godotは、2014年に開発された無料のクロスプラットフォーム対応オープンソース型ゲームエンジンで、MITライセンスで提供されています。
Godotはいくつかのゲーム機能の表現にノードやシーンアーキテクチャを用いた独自のアプローチをとっており、他のゲームエンジンよりも簡単かつ直感的に使用できるという意見もあります。
また、GodotはPythonに似た、独自のスクリプト言語(GDScript)を使用します。
長所
- 完全無料のオープンソース
- 2Dゲームと3Dゲーム開発のどちらでも使える
- クロスプラットフォーム対応
- ゲーム開発のための独自アーキテクチャ
- シンプルで直感的なインターフェース
短所
- 他のゲームエンジンと比べると、リソースや素材が少ない
- 習得に時間がかかる
Amazonのゲームエンジン
Amazon Lumberyardは、Amazonが2016年に提供を開始したゲームエンジンです。そのソースコードは元はCryEngine(後述)からライセンスを受け、作り直したものになります。
Lumberyardは無料のクロスプラットフォームエンジンです。しかし最近、Amazonはこのゲームエンジンのオープンソース化を決め、Open3Dという名前での提供を開始しました。LumberyardをベースにしたOpen3Dでは、よりモジュール化したゲーム開発のアプローチがとられています。
簡単に使い始めることができるため、AAAゲームの開発スタジオだけでなく、スタートアップやインディーズスタジオにとっても、手が届きやすいゲームエンジンです。
長所
- シングルプレイヤー向けゲーム開発での利用は無料
- VR関連の高度なサポートが受けらえる
- AWSとの統合により、オンラインでのマルチプレイを実現可能
- Twitchとのネイティブな連携
- クロスプラットフォーム対応
- 屋外環境のソリッドレンダリングが可能
短所
- 小規模プロジェクトには不向き
- 他のゲームエンジンと比べると、リソースや素材が少ない
CryEngine
CryEngineは、CryTek社が2002年に開発した、現在よく使われているゲームエンジンのひとつで、その最新版はCryEngine Vとなっています。
クロスプラットフォームに対応したエンジンであり、特にシューティングゲームのような、フォトリアリスティックなプレイヤー視点のゲーム制作によく使われれます。CryEngineは、CryTek社のゲームすべての開発で使われているだけでなく、他のスタジオでも活用されています。また、前述の通り、CryEngineはAmazon Lumberyardのベースとなったゲームエンジンでもあります。
例えば、CryTeK社の『Hunt: Showdown』やWarhorse Studiosの『キングダムカム・デリバランス』はCryEngineを使って作られています。
長所
- デフォルト機能が充実している
- 高精細なビジュアル制作が可能
- 高速なイテレーションプロセス
- パワフルなサンドボックス型ゲームエディタ
- VR対応
- 使い方が簡単
短所
- 初心者にとって使用が難しい
- 他のゲームエンジンと比べると、リソースや素材が少ない
Learn Why CryTek Uses Helix Core
事例紹介記事:自作のゲームエンジン
その他によく使われているゲームエンジンとして、スタジオ独自のものが存在します。
自分たちの手で開発した、独自のゲームエンジンを作っているスタジオも沢山あります。そして、その独自のゲームエンジンは開発したスタジオだけで使用されているケースがほとんどです。あるプロジェクトでは独自のエンジンを使用し、あるプロジェクトではUnreal Engineのような他のエンジンを使用するなど、使い分けているスタジオもあります。
例えば、任天堂は独自のゲームエンジンを使用していますが、Nintendo SwitchはUnreal EngineやUnityをサポートしており、サードパーティ製ゲームの移植もできるようになっています。
どのゲームエンジンがベストなのか
結局のところ、どのゲームエンジンが自分たちの開発チームに合っているのか。その答えは、スタジオやプロジェクトによって変わってきます。
以下の、よく使われているゲームエンジンの中のひとつがあなたのチームにとって最適なものかもしれませんし、
- Unreal Engine
- Unity
- Godot
- Open3D Amazon
- CryEngine
自分でビルドしたゲームエンジンが一番ということもあるでしょう。
ゲームエンジンとバージョン管理ツールの連携方法
ゲームエンジンはゲーム開発をする上で、重要なツールのひとつであり、バージョン管理ツールをはじめ、その他のゲーム開発ツールともシームレスに連携する必要があります。
バージョン管理ツールは、ゲーム開発において無くてはならない存在で、ゲーム開発スタジオのほとんど(AAAゲーム開発スタジオTOP 20のうちでは19のスタジオ)がPerforce社のバージョン管理ツール「Helix Core」を使用しています。
ゲームエンジンとHelix Coreの連携方法は以下の通りです。
1. ゲームエンジンをダウンロードする
まだ、ゲームエンジンが手元にない場合は、好きなゲームエンジンのサイトに行き、ダウンロードしましょう。
参考までに、主要なゲームエンジンのダウンロードページを以下にリストしておきます。
2. Perforce社のサイトからHelix Coreをダウンロードする
ゲームエンジンのセットアップが済んだら、次に、Perforce社のHelix Coreをダウンロードします。
現在、Helix Coreを使用していない場合は、まずはこちらにアクセスしてみてください。
すでにHelix Coreをお使いの場合は、以下のサーバーとクライアントの最新版をダウンロードしてください。
3. ゲームエンジンとHelix Coreを連携させる
次に、ゲームエンジン側が用意しているドキュメントに書かれている手順に従い、Helix Coreと一緒に使えるように必要なセットアップを行いましょう。
まずは、下記のページに参考にしてみてください。
- UnrealとHelix Coreの連携セットアップ
- UnityとHelix Coreの連携セットアップ
- LumberyardとHelix Coreの連携セットアップ
- CryEngineとHelix Coreの連携セットアップ
4. ゲームエンジンエディタを使用する(デザイナーやアーティストの場合)
ほとんどのゲームエンジンには、デザイナーやアーティスト用にビルドインのエディタが用意されています。このエディタを使用することで、ゲームエンジン内のグラフィックなどのアセット上で作業することができます。ゲームエンジンをHelix Coreと連携させておけば、エディタを使って作業を続けながら、アセットをHelix Coreにチェックインすることもできます。
5. IDEを使用する(エンジニアの場合)
ゲームエンジンのほとんどは、Microsoft Visual StudioなどのIDEで使用することができます。そして、これはHelix Coreも同様です。つまり、Visual Studioでコーディングを行い、そこから直接、コードをHelix Coreにチェックインすることができます。デザイナーやアーティストも同じSingle Source of Truth(信頼できる唯一の情報源)にアクセスできるので、全員が同じ環境で作業することができるようになるのです。
参考ブログ記事:
- Unreal Engine 4とHelix Coreの連携方法
- UnityとMicrosoft Visual Studio、Helix Coreを一緒に使う方法
- バージョン管理ツールをAWS上で使う方法
人気ゲームエンジンをPerforceツールと一緒に使おう!
人気ゲームエンジンとHelix Core + Helix DAMを使用して、次なる素晴らしいゲームを生み出すことができます。
Helix Coreを使うべき理由
Helix Coreは、超高速のパフォーマンスを誇るバージョン管理ツールで、プロジェクト全体のSingle Source of Truth(信頼できる唯一の情報源)を実現します。デジタルアセット、バイナリファイル、コードなど、すべてを一か所で保管することができ、ファイル数やサイズの増加にも柔軟に対応します。
中央集権型のアーキテクチャにより、世界中の離れた場所で開発チームが分散して作業を行う場合でも、高パフォーマンスが保証されます。ブランチやコードレビューのワークフローはそれぞれ、ストリームやHelix Swarmの機能によって、カスタマイズしたり、自動化することが可能なのに加え、アクセス制御機能により、知的財産を安全に保護することができます。
Helix Coreとゲームエンジンとの連携
Helix Coreは主要なゲームエンジンの多くと連携させることができます。
Helix Coreは数多くのゲームエンジンと一緒に使うことができ、独自開発されたものとの連携も難しくありません。事実、多くの開発チームがHelix Coreとゲームエンジンの連携を簡単かつシームレスに実現しています。
Helix Coreは5ユーザー、20ワークスペースまで無料で利用することが可能ですので、あなたの使っているゲームエンジンとの相性も、ぜひチェックしてみてください。
Helix DAMを使うべき理由
Helix DAMは、Helix CoreのWebベースのビジュアルUIのような役割を果たし、クリエイティブ制作のワークフロー効率化に大いに貢献します。Helix DAMを使用することで、2Dや3D、音声、ビデオファイルなど、様々なアートアセットの検索、変更履歴の管理、レビューがすべて一か所で簡単に行うことができるようになります。
すべてをSingle Source of Truth(信頼できる唯一の情報源)に格納しておくことで、レビュープロセスがシンプルかつ高速に行えるようになり、アセット上で直接コメントを入れることも可能になります。さらには、外部のチームとのコラボレーションもシンプルで簡単になるだけでなく、安全に行うことができるようになります。
PhotoshopやMayaなど、普段使っているクリエイティブツールとHelxi DAMを連携させ、そこから直接バージョン管理することもできます。既存のワークフローのまま、裏でバージョン管理を実現させるには、こちらもHelix DAMとの連携が可能なHelix Syncというツールを利用するという方法もあります。
Helix DAMは14日間、サンドボックス環境で自由にお試しいただくことができます。簡単な申し込みだけで、セットアップも不要ですので、ぜひお気軽にお試しください。