July 8, 2021

Helix ALMで正確な影響分析を

*本記事はPerforce Software社の以下のブログ記事(2021年7月8日時点)の参考訳です。
 Performing Accurate Impact Analysis in Helix ALM
*ブログの内容は更新されている可能性があります。また、記事内のリンク先は別途記載がない限りは英語ページになります。

要件に何らかの変更を加えた場合、必ず他にも影響が出てきます。変更に関して、十分な情報に基づいた決定を下すため、開発チームのリーダーは可能性のある影響をすべて考慮しておく必要があります。そのためには、要件の変更が必要になる度に、詳細な影響分析を行うことがベストな方法と言えるでしょう。

影響分析とは

影響分析とは、要件の変更に伴い影響が出るであろう箇所を特定し、その変更を実現するために何が必要かを見積もるプロセスです。

開発サイクルの初期の変更の場合、その影響は最小限に抑えられるかもしれません。一方、開発の後期やテスト段階での変更による影響はより広範囲なものになる可能性があります。影響分析により、要件間の依存関係や関連アイテムの開発サイクルにおけるステータスが明らかになることで、変更要求に対してより正確かつ十分な情報に基づいた決定を行うことが可能になります。

開発チームにとっての影響分析のメリット:

  • 依存関係にあるアイテムの変更漏れリスクを低減できる
  • 変更による予期せぬ事態(要件を再利用している別コンポーネントへの影響など)を防止できる
  • 変更により新たに作成が必要となる要件やその他のアイテム(追加のテストケースなど)を特定できる

影響分析の種類

影響分析には主に、要件定義書で定める階層の上位アイテムから下位アイテムへの影響(Forward Impact)を分析するものと、下位アイテムから上位アイテムへの影響(Backward Impact)を分析するものの2種類があります。なお、Perforce Software社のアプリケーション・ライフサイクル・マネジメントツール「Helix ALM」はいずれの分析にも対応しています。

Forward Impact分析では、要件の変更によって影響を受ける可能性のある子要件や依存関係のあるその他アイテムを特定します。例えば、ハイレベルなビジネス要件への変更が機能関連の子要件すべてに影響を及ぼしたり、要件の変更がその要件に紐付く全テストケースに影響する可能性があります。

Backward Impact分析では、要件の変更によって影響を受ける可能性のある親要件や依存関係のあるその他アイテムを特定します。例えば、提案された子要件への変更がその親要件との不整合を引き起こしたり、機能要求のひとつが関連する既存の要件に影響を及ぼすかもしれません。

Helix ALMの機能を動画でご紹介

影響分析の実施

変更を検討する際には、その前段階において影響分析を実施しておくことをおすすめします。また、影響分析はライフサイクル管理ツールを用いて行うのが最も効率的です。

Helix ALMでは、変更の影響分析は[Traceability]タブにアクセスして行います。[Impact Analysis]をクリックし、次に分析の種類[Forward Impact]か[Backward Impact]、またはその両方を選択します。すると、要件定義書内で関連付けられている要件や互いに紐付けされている要件が、関連するテストケース、テストラン(テスト実行の有無)、不具合と共にリスト表示されます。

依存するアイテムごとに詳細な情報が表示されるため、各アイテムのステータスを判断したり、要件との関係をより詳しく見たりすることができます。Forward Impact分析およびBackward Impact分析のいずれでも、直接的および間接的に影響を受けるアイテムが表示されます。以下の表は、それぞれの影響分析で表示されるアイテムを示しています。

以下は、Forward Impact分析において要件定義書の内容がどのように表示されるかを示した例です。
FR-25に注目してみてください。これは、FR-25が要件FR-20、FR-26、およびFR-21の親要件であることを表しています。

< 要件間の関係は、要件定義書に記載された階層に基づいて表示される >

[Impact Analysis]エリアには、FR-25の子要件だけでなく、FR-25に紐付けられたテストケースやテストランも表示されます。FR-25に変更がある場合、追加の変更が必要になるかどうか判断するために、依存関係にあるこれらアイテムが調査すべき対象になります。

Helix ALMで生成される影響分析レポート

変更要求が複数の要件に影響を与える可能性がある場合、Helix ALMのレポートや[Analyze Traceability]ダイアログを使用して、要件の関係をより広い範囲で確認しておきましょう。

影響分析に関してまとめたホワイトペーパーをお読みになりたい方は、以下よりダウンロードいただけます。

ホワイトペーパーをダウンロード

要件定義書に基づく影響分析レポート

Helix ALMに用意されているRequirement Document Impactレポート作成機能を使えば、要件定義書に記載されている要件や依存関係にあるアイテムのすべてを表示することができます。このレポートは、要件変更による影響がどれほど広範囲に及ぶのかを確認し、プロジェクト全体におけるアイテム間の関係性を俯瞰的に見るのに役立ちます。

この影響分析レポートでは、要件が階層的に表示されます。そして、テストケースは関連する要件の下に、テストランは関連するテストケースの 下に、不具合は関連するテストランの下に表示されます。依存関係にある アイテムを簡単に見つけ出し、変更による影響の可能性を判断することができます。

各アイテムのステータス表示は、それぞれが開発ライフサイクルのどの段階にあるのかを確認するのに役立ちます。また、一緒に表示される要件のリスクや難易度も、変更による影響を評価するうえで役立つ情報になります。アイテムのリンクをクリックすると、そのアイテムの詳細情報が表示されます。

下位階層への影響分析レポート

同じくHelix ALMの機能で作成が可能なRequirement Forward Traceabilityレポートでは、要件と依存関係にあるアイテムを特定の組み合わせで表にすることができます。このレポートは、変更によって下位階層へ影響を及ぼす可能性のある要件を特定するのに適しています。また、関連するテストケースを持っていない要件などの"抜け漏れ"を見つけ出すのにも役立ちます。

このレポートには、別々の要件定義書に記載されている要件もまとめて表示することができます。要件とそこに紐付くテストケースや不具合がすべて表示されるため、依存するアイテムの数や種類の確認がすぐにできます。

マトリックスレポート

Matrixレポート機能を利用すれば、関連アイテムや紐付けられたアイテムをカスタマイズ可能な表形式でまとめることができます。変更によって影響を受ける可能性があるアイテムをすべてあぶり出すのに、このレポートを使うという手もあります。

Requirement Forward Traceabilityレポートとの違いは、レポートに含む情報(表示する列、列に表示するアイテム、列の関連性、各アイテムについて表示する詳細情報など)を自分で決めることができる点です。

変更を決める前に、Helix ALMの影響分析で十分な情報収集を

Helix ALMの影響分析機能を活用して、アイテム間の関係を明確に把握することで、要件変更による影響を正確に判断することができます。 アイテム間の関係をより深く理解することで、必要な変更の見落としやプロジェクト全体への悪影響を防ぐことができます。

Helix ALMで影響分析を行うことのメリットについて、より詳しくお知りになりたい方は、Perforce Software社が用意した詳細なホワイトペーパーをダウンロードするか、Helix ALMの機能紹介動画をご覧ください。