April 30, 2024
クラウドを利用したゲーム開発ソリューション
*本記事はPerforce Software社の以下のブログ記事(2024年7月31日時点)の参考訳です。
Cloud Game Development Solutions for Your Team
*ブログの内容は更新されている可能性があります。また、記事内のリンク先は別途記載がない限りは英語ページになります。
大規模化し続けるプロジェクト、世界中に分散化するチーム体制、そして限られたリソースに対応する必要がある中で、ゲーム開発はますます複雑なものになってきています。そのため、次なるヒット作を生み出すために、クラウドゲーム開発のようなソリューションを取り入れることを検討するケースが増加しているのも当然の流れと言えるでしょう。
クラウド環境でのゲーム開発の魅力は、開発者やアーティストが直面している様々な課題を軽減しつつ、開発パイプラインを最適化できる点にあります。また、クラウドゲーム開発は、インタラクティブでダイナミックなプレイヤー体験を構築するのを助け、本来の仕事である"ゲーム制作"に集中できるようにしてくれます。
本ブログでは、クラウドゲーム開発とは何か、クラウドでゲームを開発するメリットや課題、そしてクラウドベースのゲーム開発の始め方を説明したいと思います。
目次
クラウドを利用したゲーム開発とは?
クラウドを利用したゲーム開発では、AWS for Games、Azure、GCPなどのクラウドサービスを使用して、ゲームの開発・リリース・運用を行います。クラウドの処理能力は、ゲーム開発で使用される、ネットワーク負荷の高いアプリケーションの実行に役立ちます。クラウドを利用することで、ハードウェアをアップグレードすることなく、最新かつ最高の開発ツールにアクセスすることができるのです。
クラウドへのデプロイは目新しいものではありませんが、ゲームエンジン(参照ブログ:日本語)の台頭に伴い、ゲーム開発におけるクラウド利用は劇的に増加しています。
クラウドを利用したゲーム開発のメリット
クラウドベースのゲーム開発を導入するか決める前に、考慮すべき点がいくつかあります。まずは、メリットから見ていきましょう。
柔軟性
クラウドを利用したゲーム開発における最大のメリットは "柔軟性" です。開発チームは、必要に応じてリソースの利用を迅速に開始したり、終了したりすることができます。たったひとつのプロジェクトのために、追加リソースに投資することなく、必要なものだけを手に入れることができるのです。
拡張性
柔軟性に加えて、"拡張性" もクラウド利用の大きなメリットです。クラウドを利用することで、開発スタジオは従来のオンプレミス環境が抱えていた数々の制限から解放されます。メモリ不足や高画質データによるストレージの圧迫もわずか数クリックで解決できますし、開発者は追加のハードウェアや管理リソースなしに、ハイエンドな設備のメリットをすべて享受することができます。
高速性
もしも、開発チームの中でファイルやフィードバック待ちを強いられているメンバーがいるとしたら、最も貴重なリソースである "人によるイノベーション創造" の機会を無駄にしてしまっていることになります。クラウドを使えば、チームが作業を行う地域にサーバーを配置し、深刻な遅延の発生を軽減することが可能です。
また、ビルドサーバーを複数設置することで、メインのコミットサーバーへのトラフィックを減らすこともできます。クラウド環境に対する要件を考える際には、開発スケールが拡大しても遅延の問題に対処できる方法を持っておくことが重要になってきます。
安定性
クラウドの利用はスタジオの安定化にも繋がります。各ツールがクラウドに統合されていることで、ネットワークの監視が容易になりますし、サービスプロバイダーがクラウド環境で使用されるアプリケーションをすべて管理しているため、スタジオは常に最新の状態で作業が継続することができます。ツールが新しくなるのではなく、開発環境自体がアップグレードされていくのです。
安定性の面でのもうひとつのメリットは、カスタマー・サポートです。分からないことがあった時にサービス・プロバイダーに問い合わせができるだけでなく、問題の調査や解決に slack コミュニティのグループやスレッドを活用することもできます。色々と学びながら、継続的に開発環境を改善していくことができます。
クラウドを利用したゲーム開発の課題
クラウドベースのゲーム開発には多くのメリットがありますが、クラウドへの移行を決める前に、以下のような点も考慮しておく必要があります。
コスト
多くのエンタープライズ規模のクラウド開発チームにとって、クラウド利用を開始するうえでの初期費用は大きなハードルになるかもしれません。しかし、クラウドへのデプロイメントに関して言えば、長期的なハードウェアにかかるコストを考慮することが重要になってきます。サーバーがダウンしたら、どうなりますか?開発に必要な機器のモニタリングやアップグレード、新しい機器のインストールなどにどれだけの管理リソースを費やしていますか?
また、物理的なハードウェアの置き場所は?賃料は?サーバーがダウンした場合、誰が再起動しに行きますか?
クラウドの利用開始時は、オンプレミスよりもコストがかかるのは事実です。しかし、90日、120日、365日と利用を続ければ、話は変わってきます。スケーラビリティが確保できることや、サーバーのメンテナンスを外部に委託できることなどの付加的なメリットを長期的に見れば、結果的にはコスト削減につながると言えるでしょう。
ファイルの送受信やビルドに要している時間を考えることも非常に重要です。開発者がフィードバックをただ待っている時間は、結果的に余計なコストが発生していることになるからです。
セキュリティ
クラウドに関して、ゲーム開発スタジオの最大の懸念事項のひとつに "セキュリティ" があります。これまでは、オンプレミスのソリューションの方がロックダウンが簡単であるとされてきました。しかし、世界が"リモート"に舵を切ったことで、開発スタジオは"セキュリティ"と"アクセシビリティ"の関係を慎重に検討する必要が出てきました。
クラウドサービスのプロバイダーからは、インフラやソースコード保護のための機能が提供されており、定期的な監査やメンテナンスにより、クラウド環境はしっかりと保護されています。どのプロバイダーを利用する場合も、IDプロバイダー(IdP)を介してのアクセス制御にはベストプラクティスを参考にしておきましょう。
メンテナンス
クラウドゲーム開発を始めるには、そのためのリソースに加え、サーバーのインストール、設定、保守を行えるITの専門家が必要になります。多くのゲーム開発チームは既に限られたリソースや人員で作業しているため、この責務を新たにチーム内で割り当てるのは難しいかもしれません。一方で、プロバイダーにこれらの作業を委託するも、安くはありません。
ゲーム開発の現状レポート
Perforce Software社が毎年公開しているゲーム開発に関するレポートでは、回答者の43%が、開発スピードの主な阻害要因として「時間とリソースの不足」を挙げています。ゲーム業界に働くプロたちの意見をもっと知りたい方は、ぜひレポートをダウンロードしてみてください。
クラウド環境でのゲーム開発
クラウドでのゲーム開発には、その環境と同様に、柔軟性と拡張性に優れ、ニーズに合わせて使用できるツールが必要になってきます。
バージョン管理とデジタルアセット管理は、その基盤となるものです。クラウドでのゲーム開発では、巨大なファイルサイズ、膨大なファイル数、さらには関係する多くの関係者(多くは外注先)に対応可能なツールが求められます。なぜなら、ツールの方でファイルやフィードバックの入手に時間がかかってしまっては、せっかくのクラウドへの投資を最大限に活かすことができないからです。結果として、ゲームのリリースを遅らせることにもなりかねません。
Helix Coreを活用した、クラウド環境でのゲーム開発
Perforce Software社が提供するバージョン管理ツール「Helix Core」は、ゲーム開発スタジオのトップ20社のうち19社にご利用いただいています。Helix Coreを利用することで、柔軟性や拡張性、高速性という、クラウドのあらゆるメリットを享受できることが選ばれている理由です。Helix Coreはビルドを高速化し、コードだけでなく、あらゆるゲームアセットを管理する目的で使用されています。
クラウドを利用したゲーム開発に着手するのであれば、Helix Coreを利用することで圧倒的なパフォーマンスを実現できます。さらに、管理すべきアセットが増大しても、そのすべてを管理することができます。
最高のパフォーマンス
Helix Coreがゲーム業界やメディア業界において広く使われているのには理由があります。Perforce Federated Architecture は、必要な場所への必要なサーバーの配置を可能にします。例えば、大容量なゲームエンジンファイルを扱うために、クラウド上にビルドサーバーを設置したり、遠隔地にいる開発グループの近くにエッジサーバーを配置して必要なファイルにすぐにアクセスできるようにすることもできます。
主な連携機能
Helix Coreは以下を含む、主要なゲームエンジンとの連携が可能です。
また、3ds Max、Maya、Photoshopなど、デジタルクリエーターが現在使用している主要なツールとも連携します。さらに、Helix Coreにはクリエイティブ向けオプションとして、無料のデスクトップクライアント「Helix Sync」が用意されています。Helix Syncを使えば、セキュリティ対策が万全とは言えないメールや DropBox に頼ることなく、デジタルアセットのすべてを正確にバージョン管理することができます。また、管理すべきファイルサイズがどれだけ増大しても、パフォーマンスを下げることなく、デジタルアセットの制作や利用を続けることが可能になります。
Helix Syncの仕組み
Helix Syncはそれひとつで、すべてが完結します。他のツールは必要ありません。デジタルアセットをドラッグ&ドロップするだけです。使い始めも簡単で、アーティストやデザイナーは意識することなく、開発者のようにバージョン管理できるようになります。
【動画】アーティスト&デザイナー向けデジタルアセットのバージョン管理方法(日本語字幕付き)
- Helix Visual Client(P4V)のワークスペースに接続
- お好みのツールで、デジタルアセットを制作
- デジタルアセットをローカルフォルダーにドラッグ&ドロップして、 バージョン管理。詳細はこちら >>
すべてのデジタルアセットとソースコードがクラウド上のひとつのディポに保存されるため、必要なものを捜索する必要はなくなり、より正確なビルドが可能となります。
デジタルアセット管理
クラウドゲーム開発は、開発速度を加速させ、プロジェクトのスケーリングを容易にします。クラウドでのゲーム開発を最大限にサポートするためには、クリエイティブなワークフローを効率化し、コラボレーションを向上させるデジタルアセット管理ソリューションが必要です。
デジタル技術による効率化
チーム全体でのリアルタイムな共同作業を予算内で円滑に進めるために、デジタル技術を活用した効率化がこれまで以上に重要になっています。詳しく知りたい方はこちら。
Perforceのデジタルアセット管理ツール「Helix DAM」を使うことで、ひとつのリポジトリですべてのアートアセットをまとめて保管、トラッキング、検索、共有することができます。ファイルのロックや各ファイルのバージョンへの高速アクセスを可能にすることで、スピーディーなイテレーションを実現し、無駄な重複作業やファイル競合も回避できます。さらに、アセットライブラリ全体を把握しつつ、チームのコラボレーション状況をリアルタイムに確認するも可能になります。
Helix Coreは5ユーザーまで無料でご利用いただけます。
また、Helix DAMは14日間の無料トライアルが可能です。
Helix CoreおよびHelix DAMについて詳しく知りたい方は、以下までお気軽にお問合せください。