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IoT教材による学校授業のイノベーション。理科離れを防ぎ、未来の科学者を育てる楽しい理科授業を実現

IoT教材による学校授業のイノベーション

理科離れを防ぎ、未来の科学者を育てる楽しい理科授業を実現

(掲載日:2018年12月19日)

子供たちの「理科離れ」が注目されるようになって久しい中、子供たちにもっと理科を好きになってもらおうと、教育の現場では今もさまざまな取り組みが行われています。最先端の計測技術を扱う当社としては、より多くの子どもたちに科学の楽しさ・重要性を知ってほしいと考えます。事業を通じて培ってきた計測の技術で、これまで「マジカル・スプーン※1」をはじめ、子供たちにわかりやすく興味を持って学習に取り組んでもらうための教材や教育システムを考案してきました。現在も、教育とIoTの融合による学校授業のイノベーションを積極的にサポートしています。

※1:二つのスプーンを打ち鳴らした時の超音波を0/1の信号として飛行船を操縦する情報教育教材。東陽テクニカは「マジカル・スプーン」の基本コンセプトを考案し、大学・NPOなどと協力して完成に貢献しました。

「マジカル・スプーン」実験風景「マジカル・スプーン」実験風景①

「マジカル・スプーン」実験風景「マジカル・スプーン」実験風景②

長野県伊那市でスタートした、ICT教育推進をサポート

経済産業省とIoT推進ラボが支援する「地方版IoT推進ラボ」の第一弾選定地域の一つとして、長野県伊那市が選定されました。「地方版IoT推進ラボ」ではIoTプロジェクトの創出を目的に、ビジネスだけではなく教育も重視されています。伊那市でも主な取り組みにICT教育をかかげ、信州大学の協力のもと力を注いでいます。東陽テクニカもIoT教材開発の先駆者としてこれをサポート。IoT教材の開発と新たな授業スタイル確立を、さまざまな面で支えています。

考えることが楽しく感じる理科授業を目指して

理科の授業では、子供たちが自分で考えて気付く問題解決型の学習を行うことによって、科学的な考え方が身につきます。しかし、従来型の理科の実験授業では、生徒は機器の操作からデータの集計、場合によってはグラフの作成までを行うため時間的な余裕がありません。よって、実験結果に対して十分な考察や議論をしたり、結果を踏まえて仮説を立てたり、新たな実験を行ったりすることが難しく、実験や理科の楽しさを感じる余裕もない状態です。
そこで、信州大学と名古屋大学、そして東陽テクニカの共同プロジェクトチームは、ICTの力で、生徒が考えることを助け、かつ楽しい授業づくりに着手。理科の楽しさを実感しながら、生徒が能動的に学習できる授業を目指しました。

IoT教材による新たな実験授業

IoT教材のシステム概念図IoT教材のシステム概念図

共同プロジェクトチームは、温度計測を自動化できる計測システムとクラウド上で動作するデータ分析システムによるIoT教材を開発しました。
計測システムは、マイコンボードArduino(アルドゥイーノ)を中心にカスタマイズし、センサーなどを組み合わせて製作。温度センサーのデータを生徒たちが決めた時間間隔でWi-Fiを通じてクラウド上の分析システムに自動送信します。分析システムは、受信した温度データをリアルタイムでグラフ化します。生徒たちは、時間と温度の関係を正確かつ精密に手元のタブレット端末で常時確認することができるのです。
この新しいIoT教材によって、測定作業の効率化に成功した結果、生徒たちは観察に集中することができ、グループ内での議論を深め、条件を変えて実験を行うことも可能になりました。
このIoT教材は「沸点計測」「混合物の蒸留」など複数の実験に活用することができます。理科の実験授業をもっと楽しくできる、大きな可能性を秘めた教材なのです。

能動的に考える力を育む授業

実験中、観察に集中する生徒たち実験中、観察に集中する生徒たち

実験結果に関する考察時間の確保に成功実験結果に関する考察時間の確保に成功

教育現場でもIoT教材の効果を実感

実際に授業を担当された前嶋和彦教諭Q:生徒の反応と先生の手応えをお聞かせください。

IoT教材を使った理科の実験授業を実現に導いた足助武彦教諭Q:今後の展望についてお聞かせください。

教材開発をされた先生方にもお話を伺いました。

「IoT教材で、子どもの理科離れをなくしていきたい」信州大学 工学部 電子情報システム工学科 教授 香山瑞恵
今回、伊那市立東部中学校でIoT教材による理科の実験を実施してみて、大きな可能性を感じました。これまで、1時限内で実験から考察までの全てを行うことは難しいとされてきました。しかしIoT教材を活用することで、前半は全員がじっくり観察に集中でき、後半はたっぷりと考察の時間に充てることができました。IoT教材は応用の幅が広く、さらなる可能性を感じています。これからもIoT教材を有効活用しながら、子どもの理科離れをなくしていきたいと思います。

先生の発想も広げてくれるIoT教材 信州大学 大学院 総合工学系研究科 永井 孝
IoT教材のメリットは、生徒たちだけのものではありません。授業実施にあたって先生方ともディスカッションさせていただいたところ、多くの先生方が次々と授業スタイルのアイディアを発案されていました。今回のArduinoのセンサーを活用した実験をもとに、より高度な実験が授業で可能になるとおっしゃる先生もいらっしゃいました。IoT教材は、先生方の発想をさらに広げる可能性をも秘めています。面白い理科の授業づくりを、加速させるかもしれませんね。

※2 2018年7月時点。現在は、ものつくり大学総合機械学科准教授。

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