FAQ
PCB社技術情報
音響技術
ID.セクション Ⅳ:仕様説明
Q. 1 マイクロホンで計測できる最小の音圧レベル(SPL)はどれくらいですか。
A.
音響マイクロホンアセンブリのノイズフロアは、構成するマイクロホンとプリアンプのノイズの和となります(加速度計や圧力計の(ブロードバンド)分解能仕様のようなもの)。 計測可能な最小の音圧レベル(SPL)は、「カートリッジ熱ノイズ」と定義されるマイクロホンのノイズフロアより高くなります。
計測可能な最小の信号については、プリアンプの電気ノイズの他、ケーブル、電源、ソフトウェア、フィルター、データ収録装置と設定、背景雑音等、試験構成に含まれるコンポーネントからのノイズも考慮する必要があります。 本項目では、マイクロホンとプリアンプのアセンブリに焦点を置いています。ノイズフロアは、マイクロホンとプリアンプの合計となります。下図に示す通り、低周波数ではプリアンプのノイズが高く、高周波数ではマイクロホンのノイズが高くなっています。
ノイズフロアは、1/3(またはその他の)オクターブバンドでdBまたはdBAで示すことができます。ダイアフラム(振動板)が大きいほど、また感度が高いほど、マイクロホンのカートリッジ熱ノイズのノイズフロアを低くすることができます。一般的な1/2インチ自由音場型マイクロホンのノイズフロア仕様は、15-20 dBAです。dBAの意味については、第1項(訳者注:別項目のようです)を参照して下さい。1インチマイクロホンのノイズフロアは約10-15 dBAであり、1/4インチマイクロホンのノイズフロアは約30-60 dBAです。定格線形(またはZ特性)ノイズフロアはより高くなります。 新型378A04は特別なマイクロホンであり、定格ノイズフロアは6.5 dBA (標準値5.5 dBa)です。PCBの378A04型マイクロホンとPCBのプリアンプを組み合わせてノイズフロアを実際に計測したデータを下図に示します。
ノイズフロアは周波数に依存します。基本的には、ノイズフロアはマイクロホンやプリアンプの使用可能な周波数レンジにおける全周波数のカーブの下にあるエリアを意味しますが、特定の周波数や1/3オクターブバンドを見ると、ノイズフロアは上図のようにずっと低いことがあります。100 Hz 1/3オクターブバンドを見ると、A特性ノイズフロアは約 -24 dBAです。これは負数であり、ヒトの可聴域を大幅に下回っており、同じ100 Hzバンドでの線形スケールによる値は約 -5 dBです。
また、環境や測定能力を踏まえて、使用目的に最適なマイクロホンを選ぶことが重要です。ユーザーが無響室(または防音室か防音環境)をお持ちでなければ、背景雑音はマイクロホンやプリアンプのノイズフロアよりも大きい可能性が高く、378A04を使ってもより安価な378B02を使っても測定結果は変わらないでしょう。逆に、ユーザーが非常に低いノイズの計測を目指していて、本来のローノイズ試験に必要な設備をすべてお持ちの場合には、新型378A04 がPCBのプリポラライズド型マイクロホンの中で最も優れたローノイズ性能を発揮します。